『風の王国 嵐の夜 上』

風の王国―嵐の夜〈上〉 (コバルト文庫)
毛利 志生子
408601145X



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読了。

国の政略として吐蕃王のもとに嫁いだ唐の公主の波瀾万丈の生を描く、少女向け歴史ロマン。シリーズ十四冊目。

前巻『風の王国 金の鈴』からまたえらく間が空いてしまいましたが、あのラストの後で続きを読むのには勇気がいります。
それ以前に予約が詰まっていて借りられなかったという理由もありますが。

そして予想通りというか予想以上に冒頭の雰囲気が重くて暗くて、読み進めるのがとても辛かったです。

主要な登場人物がいなくなったというだけでなく、絶妙な均衡をとるために重大な役割を果たしていた人物が欠落した事態が、どれほど周囲に動揺と不安を与えるか、均衡を崩してゆくかを目の当たりにさせられるような展開に、ああもう、どうしてという気分になってしまいまして、はかどらなかった。

ヒロインの翠蘭にとっては、ようやく手に入れたはずのホームが失われた。もう吐蕃は自分のホームではなく、かといって唐にそれがあったわけでもないわけで、依ってたつ場所が無くなってしまったに等しい状態。

でも、それは実は彼女だけではなく、吐蕃の人びとすべてに多かれ少なかれ降りかかってきた状況なんだなあ、というのが実感される巻でした。

失われてから初めてわかる、王の偉大さ、というところでしょうか。

かれという保険があったればこそ信頼しあえていたお互いが、疑心暗鬼に駆られて勝手に動きだす状況がとても歯がゆかったです。

とくにロナアルワの行動には、ムッときた。
でも彼女には彼女なりの理由があるのでしょう。しかし、彼女のクッション役を果たしていたのもリジムなんですね。むー。

器の大きな人にも困ったものだな。

王がいなければ部外者として扱われる現実をつきつけられつづける翠蘭の孤独は、当分和らぐことはないような気がします。

ああ、つらいなあこの続きを読むの。
作者さん、ぜんぜん手加減なしでどこまでもハード展開なんだもの。
客観的にいえば密度が濃くてすごいなーと思うのですが、肉体的にハードなのより、精神的なハードのほうが辛い。
それも、味方と思って信頼していた相手に裏切られる展開ほどつらいものはないと、今回初めて感じました。

(アーサー王の円卓の騎士がばらばらになっていく過程というのも、こんな感じだった気がしますが。あれは王自身が生存中なのであんまり悲劇性を感じなかったというか、自業自得な感じがしていまいち共感できなかったんですけれどね。)

でもこんな緊迫したところで放り出すわけにはいかないという気がひしひしとするので、続きも読みます。

個人的には生まれたばかりの赤ちゃんの出番が少なかったのが残念。

風の王国嵐の夜 下 (2) (コバルト文庫 も 2-32)
毛利志生子 増田 メグミ
4086011670

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