『風の王国 嵐の夜 下』

風の王国嵐の夜 下 (2) (コバルト文庫 も 2-32)
増田 メグミ
4086011670


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読了。


吐蕃王に嫁いだ唐の公主の人生を描く、少女向け歴史ロマン。シリーズ十五冊目。

はーっ。
上巻を読んでいったいどうなるのやらと大変不安でしたが、落ち着くべき所に落ち着いた……といっていいのかどうかまだわかりませんが(汗。

上巻では重心が失われてバランスを欠いた王国の不安と疑心暗鬼が、ついに表面に吹き出した、それこそ火山の噴火のように勢いよく、というところでつづく、だったわけですが。

下巻は混乱を極める事態を収拾するべく奔走する人びと、ひとつだったはずの民が敵味方に分かれて戦ったことで受けた痛手、そして多様な利害関係をもつひとびとをふたたび纏め上げる求心力はいま、ここにはないのだという喪失感が、淡々と厳しく、けれど穏やかに静かに描かれていました。

事の引き金となったロナアルワの件も、できうるかぎり穏やかに解決されたと思います。
ロナアルワの叔父さんティサンは、リジムが生きていればこんなことはしなかったんだろうなと思いましたが、でもそもそも自分の犯した罪が自分にはね返ってきただけのこと。

可哀想なのはロナアルワとトゥンドゥプです。
上巻でムッと来てすみません。

ところで、吐蕃での近親婚はどのくらいの範囲まで許容されるんだろうと思いました。
文中では従兄弟なら大丈夫みたいに書かれていましたが、中国だと同氏婚はダメなんですよね。韓国も。
何故か日本だけがゆるゆるだとどこかで読んだことがありますが、この違いはどこからやってきたんだろう……謎です。

謎といえば、最後に謎となって残ったのはリジムの病です。
いきなり意識を失うような病気って何だろう……。手足のしびれだの言葉のもつれだのがないので脳梗塞じゃないんだろうくらいの推測しかできないんですが、気になります。

それから亡骸と殯を過ごしていた共生の行く末も気になります。
まさかこのまま死を共にするんじゃないでしょうね……(汗。

話は、事態が沈静化してからは翠蘭の出番が極端に減ってしまいましたが、かわりにガルが一気に存在感を大きくしてきました。
これからかれは翠蘭の敵になるのか味方のままなのか。味方という言葉より同志というほうが適当かもしれませんが、この駆け引きはこれからの話の大きな部分を占めそうです。

そうして、翠蘭はふたたび吐蕃に自分のホームを得るために戦い続けるのでしょう。
たいへんな人生です。
ドラマティックですが、体力と精神力をすり減らす日々を決然と選択する翠蘭を尊敬いたします。

事件の発端はこちら。
風の王国―嵐の夜〈上〉 (コバルト文庫)
毛利 志生子
408601145X


シリーズのつづきはこちら。
風の王国―星の宿る湖 (コバルト文庫)
毛利 志生子
4086012154

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