『仏典を読む 死からはじまる仏教史』

仏典をよむ―死からはじまる仏教史
末木 文美士
4103864028


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読了。

始祖ブッダの死から日本の仏教受容の歴史へ、仏教思想の変遷を仏典をもとにたどる入門書。

最近、自分の仏教知識の貧弱さに呆れることが多かったので、基本を学ぼうと借りてきました。

私の仏教の思い出というと、いまはもう亡き身内が毎日法華経を仏壇の前でがなっていたことと、中高時代に習った日本史に関わるところと、高校の倫社の授業で悪人正機説を習ったこと。それだけ。

だから『聖☆おにいさん』のアーナンダも実は誰なのかわからなかったのだった……。

というわけで、仏教の始祖がブッダだとか、かれはゴータマ・シッダールタという名前だとか、王子様だったけど突然出家しちゃったとかは知ってましたが、かれが唱えていた教えも、その教えが日本に受け入れられてどんなふうに受けとめられてきたのかも、そもそも仏教ってなにを説いてるのってところからよくわかってませんでした。

だからこの本は目から鱗が落ちまくる一冊でした。

なんだ仏教って悟りを開いて仏となるためのハウツー、というと身も蓋もないが、でもつまるところそうなのでは? すくなくともブッダの説いていたのはそういうことだと私は受けとめました。

それが、ブッダを失ったあとで弟子達がいろんな修行方法を考え出して、だんだんその方法で分派ができて、それから中国に行って感覚で漢字に訳されている(三蔵法師が帰ってくるまで原典から訳した教典がなかったらしい)うちにもともとの思想が漢字に染まってしまい、それを受け入れた日本ではさらに日本人的な都合による解釈がつけくわわって……と、どんどん変化していったのですね。

もともとは修行して悟るためのガイダンスで修行する(何回も生まれ変わってその度に修行をすると次第に仏に近づいていく)ことに重きを置かれていたのに、日本にまでやってくるとなぜかいかに修行を省いてすばやく解脱する(生きたまま仏になる)かにむかっていくところが、日本人だなあ……と感じます。

眼にみえる結果をすぐに求めて修行を省くために、ものすごい理屈をこね上げたところが日本仏教の真骨頂、みたい(汗。

念仏を唱えることやお経をあげることが大切になっていくなんとなく神秘主義的な思想の変遷は、原始仏教のシンプルさと比べるとなんだかなあ、なのですが、仏教指導者は真剣なんですよね。

日本人ってもともと現実的じゃないのか、いやすごく現実的なあまり論理的じゃないというのか。現実の苛酷さにあえいでいるとなにかにすがりたくなるものですが、それでもすぐに結果が出ないと信じられないというのか。

これって現金てやつですか……。

かなり日本人に呆れてしまったわけですが、そんなこんなで読んでいてとても面白かったです。

面白かったのですが、正直、鎌倉期以降に日本人が提唱した新仏教は私はよく理解できませんでした。修行を省くための理屈が難しすぎ……(汗。

ともあれ、日本は完全な仏教国にこそならなかったけれど、江戸時代に幕府に方便として使われたので民衆レベルでは仏教が深く浸透していき、そのため仏教の言い回しなどや考えがそこかしこに当然な存在として日常レベルであらわれるのだ、ということはわかりました。

しかしそれも、日本流に解釈した庶民的な仏教で、仏教界の構築した世界とは微妙に違ってるんだなーということもわかりました。

たとえていうなら、キリスト教がヨーロッパに広がっていくに連れてマリア信仰が大きくなっていったようなものかも。

日本人が仏僧や修験者や聖に超人的な力を期待する理由が、なんとなくわかった気がします。

……それと仏と菩薩、僧と聖の違いがようやくわかったよ(汗。

以下に目次を記しておきます。


はじめに

第一部 死からはじまる仏教
 第一章 大いなる死――『遊行経』
 第二章 死と生の協奏――『無量寿経』
 第三章 他者と関わり続ける――『法華経』
 第四章 否定のパワー――『般若心経』
 第五章 心の中の地獄と仏――智ぎ『摩可止観』
 第六章 禅の中の他者と死者――えん悟『碧巌録』

第二部 日本化する仏教
 第七章 現世を超えた秩序――景戒『日本霊異記』
 第八章 仏教は俗世に何をなしうるのか――最澄『山家学生式』
 第九章 この身のままに仏となる――空海『即身成仏義』
 第十章 贈与する他者――親鸞『教行信性』
 第十一章 脱構築から再構築へ――道元『正法眼蔵』
 第十二章 宗教国家は可能か――日蓮『立証安国論』
 第十三章 異教から見た仏教――ハビアン『妙貞問答』

あとがき

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末法時代なのかなぁ

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善悪の判断の違いの人がいる。その 善悪の因果が 未来になる。心口意。悪いことの結果が恐ろしい。BATIとはあるのだろうか?
宿命 宿業 因果と償いと生死
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