『羊のうた 7』

羊のうた (第7巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344801989



借りて読了。

家系に伝わる奇病に冒された姉弟の孤独と葛藤、周囲の人びとのもどかしさせつなさを叙情的に描く、心理サスペンスコミック。シリーズ完結編。

死を間近にした千砂にどんどん近づいていく一砂、それを歯がゆく見守るしかない人びとの葛藤とともに、ふたりの母親の死の秘密があきらかになる――。

雰囲気たっぷりだった作品にふさわしい、壮絶にして耽美テイストあふれるラストだったと思います。
若いときに読んでいたら多分かなり浸っただろうなー。
そして、エピローグはいらないと感じたと思う。
そうです、若い頃の私は悲劇好きだったのです……(苦笑。

しかしもう若くはない私はこのラストに孤独に酔っぱらう子供っぽさ、を見てしまうのですね。遺憾なことに。


えーと、ここから多少のネタバレを含みますのでたたみます。

ふたりのラストはもうその流れで捉えるしかないなーと思ったわけです。
今の私には受け入れがたいけれど、そういうお話なのだからと。
ですが、そうするとエピローグの牧歌的な展開によけいに違和感がある。

なぜ、かれは戻ってきたんだろう。
なんだろう、このもやもやとする腑に落ちなさは。

そして考えたあげく、ああ、そうかと気がついた。
これは死=異界にあこがれるものの話だったのだと。

千砂はすでに半ば異界の住人だったんだ。
そして一砂は千砂に惚れられたため異界へと誘われることになった。
誘うのは美しい女性。
彼女には幾重もの誘惑装置がついていて、それがおなじ病という魔法であったり、血の繋がった姉という禁忌だったりしたわけだ。

そして一砂はさんざん誘われてとうとう異界へと行ってしまう。
でもなぜか戻ってきた。

その理由はわかりませんが、一度境界を踏み越えたのだからなにがしかの代償を支払う必要があるわけです。

というわけで、かれは失ったのだと思います。
憧れと、その源を。

と、ここまで考えて、だったらやっぱりファンタジーもしくはホラーとして書いたほうがわかりやすかったんじゃなかろうかと。

現実として書くなら一砂は戻って来ちゃダメだと私は思ったのですが、それは見解の相違ということかな。

それと、ずっと一砂視点の話だったのに、エピローグだけ外視点なのでそれが違和感の原因のひとつかと推測。

なんだかだと書きましたが全体的にたいへん面白いシリーズでした。読みながらかなりドキドキしました。
最後の最後に悲劇を満喫するには歳をとりすぎていた自分、というのを目の当たりにしてちょっと萎え申したでござります。

なんだかわけのわからない文章になってしまった……。

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