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『青い城』

青い城 (角川文庫)
L.M.モンゴメリ 谷口 由美子
4042179096



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読了。


20世紀初頭に書かれた『赤毛のアン』の著者のウィットとユーモアにあふれるロマンス小説。


ヴァランシー・スターリングは二十九歳。何事にも堅苦しく常識にとらわれたうえに唯我独尊のスターリング一族にあって、彼女は不器量で要領の悪い大人しく身体の弱いオールドミスだった。ある日、ヴァランシーは頻発する胸の痛みに耐えかねて一族のかかりつけではない医師の診察を受けた。そこで彼女に下ったのは余命幾ばくもないだろうという診断。絶望にうちひしがれたヴァランシーは、これからは他人の顔色をうかがわず、自分のしたいことをしようと決意する。まず彼女がしたのは、のんだくれで評判の悪い大工の娘の看病に家政婦として赴くことだった。



わがままで自己中心的な一族、とくに母親に虐げられて日々を忍従して費やしてきたヴァランシーの開き直りと、とるにたりないと侮ってきた小娘の常識外の反乱に混乱し慌てふためく一族の姿が痛快な、コメディーロマンス。

さすがに古い話なので台詞回しなどはかなり時代がかっていますが、登場人物たちの性格やそれにまつわるエピソード描写には皮肉の効いたユーモアが満載で、よみながら可笑しさ楽しさを満喫できます。

それから、カナダの美しい自然を描く絵画的な文章が美しい。
ミスタウィス湖の四季に移りゆく光景は、『赤毛のアン』のアヴォンリーに負けず劣らずです。

冒頭、ヴァランシーの不幸な境遇がこれでもかこれでもかと愚痴まみれでつづられるところはちょっと難儀でしたが、彼女が意を決して医師の診察を受けるあたりからどんどん面白くなっていきます。

それに、忘れちゃいけない、ヴァランシーの恋のお相手バーニィ・スネイスの謎めいた存在感。
尾ひれのついた噂がさらに雪だるま式に膨れあがったような案配で、とんでもない悪漢と見下されているかれの意外な素顔があらわになるごとに、ヴァランシーの心が揺さぶられる様がなんとも憎いです。

そして意外な展開と伏線が回収されて、最後はまあるくハッピーエンド。

安心して楽しめる乙女小説だと思います。

ところで、私この本以前に読んでました。篠崎書林の本で。
なんか覚えのあるタイトルだなあとは思っていたのですが、あとがきを読んで読了データベースを当たったら出てきましたとさ。
読んでいて既読感がほとんど甦ってこなかったのがかなり不覚だと思います。

おかげでまた存分に楽しめたので、ま、いーか。

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