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『テメレア戦記 I 気高き王家の翼』

テメレア戦記〈1〉気高き王家の翼
Naomi Novik 那波 かおり
4863325967



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読了。

ドラゴンによる空軍の存在する十九世紀を舞台に、戦乱のヨーロッパで英国海軍のキャプテンだった男と彼が担い手となった若きドラゴンの活躍を描く、歴史改変ファンタジー。

ドラゴンです。話すドラゴンです。賢いドラゴンです。可愛いです。
というドラゴンのたくさん出てくる戦争ファンタジーです。

冒頭から、もしかしてこれって海洋冒険モノですかというような雰囲気で始まった物語。
オーブリー物ばりの海戦が描かれた後に主人公の英国海軍キャプテン・ローレンスは、拿捕したフランス船の積み荷が希少なドラゴンの卵であることに狂喜し、次に愕然とします。ドラゴンの卵は孵化を間近に控えていたのです。

ドラゴンは孵化と同時にみずからの意志でひとりの人間を担い手として選びます。
もし、その選択がなされなかった場合、ドラゴンは制御できない存在となり、無価値となってしまいます。

しかし、ローレンスの船は空軍関係者から遠く離れた海上にあり、とうぶん陸地にはたどり着けそうもない。
そんなこんなでローレンスはドラゴンに選ばれてしまうのです。

すでに海軍でキャリアを築いてきたローレンスにとってはまさに青天の霹靂でした。しかしドラゴンを見捨てることはできず、かれは新天地に旅立つ事を決意せざるを得なくなるのでありました。

……というようなお話です。

意外だったのは、これが少年の成長物ではなかったこと。
海軍から一転して、訳のわからない空軍に投げ込まれた男の戸惑い、不安、それでも自分はすでにひとかどの物であったというプライドが交錯するローレンスの心理が楽しいです。

空軍のよくいえば柔軟な、わるくいえばまだ組織が確立されていないゆるゆるな雰囲気も良い感じです。

さらにもっとも興奮させられるのは、ドラゴンによる空戦のシーンです。
この話に出てくるドラゴンは、種によって用途を使い分けられています。
伝令用、偵察用といろいろいる中で、おもに戦闘用として使用されるドラゴンは桁外れに大きいらしいです。

なにしろ、ドラゴンに乗るのは独りではありません。
まるで一艘の戦艦のように、舵取り役の担い手の他に副キャプテンやら伝令兵やら爆撃兵やら医療兵やらがクルーとしてわんさと乗り込んでいるのです。

読みながら「こんなに乗せて、ドラゴンの機動性はどうなるのだろう?」とかなり不安でしたが、おそらく、この世界のドラゴンは馬ではなく飛行機に近い存在として設定されているんでしょう。

その他にもドラゴンの設定には生き物として疑問符がつくようないろいろがありまして、その部分がちょっとひっかかりましたが、お話は人間ドラマあり、ドラゴンドラマあり、戦闘あり、陰謀ありの盛りだくさんでたいそう面白かったです。

訳者あとがきにもありましたが、ジャック・オーブリー物と「パーンの竜騎士」を足して割ったような味わいでした。

ドラゴンの設定には他にもまだ違和感がいろいろとあるのですが、これだけ楽しんだのだから文句は言うまいと思います。

……とか書きながらも、中国産のドラゴンがもっとも優れているなどという件を読んだりするとやっぱりキリスト教が関係しているんじゃなどと考えてしまったりして、なのに聖職者がまったく出てこないことになんとなく居心地悪さを感じてしまうんですが。十九世紀の欧米物なのに不思議だなーと。

シリーズはすでに二巻が出ている模様です。

テメレア戦記II 翡翠の玉座
ナオミ・ノヴィク 那波 かおり
4863321147

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