『とある飛空士への追憶』

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い)
犬村 小六
4094510524


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読了。

敵国軍掌握下の植民地から自国軍のもとへ、皇子の婚約者をのせて単機で一万二千キロ飛びつづけろ――限りなく不可能に近い命令を受けた若き傭兵と美しい姫君の、異世界戦闘機冒険譚。

あちこちで評判だったので借りてみました。

これはあれだ、戦記物の中でも戦闘機ものと私が名づけている(苦笑)ジャンルの話ですね。
舞台と設定には多少のSF性がありますが、ストーリーそのものは戦記物+身分差ロマンスです。

というわけで、話の読みどころは主人公狩野シャルルのほぼ丸腰偵察機と敵の最新鋭戦闘機とのドッグファィトと、かれが守り届けなければならない美姫ファナとのぎこちなくもほほえましいやりとり。

展開もエピソードのつなげ方も滞りなく、クライマックスを十分に盛りあげたあとで切なくさわやかな幕切れを迎えます。

たいそう面白く読みました。

が、素直に楽しむには、私の読書歴が邪魔をするようです。

戦闘機が実用化されているということは、地べたに這いつくばって血みどろで死んでいく普通の人間がたくさんいるということだ……と考えてしまうので。
戦闘機のドッグファイトは、技術の発達した時代に残る騎士道の残滓なんだとは思うのですが、戦争ってかっこいい事じゃない無様な悲劇なんだよなーと、私は思う。

こういうレーベルだからヒーローが出てこないとダメなんだとは思うのだけど……むー。

完璧に異世界もので、どこにも現実を想起させるところがなければこんな感想は抱かなかったかと思うのです。

“光芒五里に及ぶ”なんていう形容をされる美姫がえらく砕けた言葉遣いをされるところも、響いたかなー。作品の隅々まで硬く重苦しい雰囲気を追求していたら、とつい想像をしてみてしまう。

そんなふうに設定と雰囲気に第一次大戦や第二次大戦を彷彿とさせるようなリアリティーがあるのでよけいにそう感じてしまうのかなーと。

この話、私には爽やかすぎた、ということでしょうか。
ううむ、歳を食ったぜ(汗。

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犬村小六「とある飛空士への追憶」

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