『夜は短し歩けよ乙女』

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
森見 登美彦
4043878028



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借りて読了。

京都を舞台にしたちょっと古風でかなり変てこでスラップスティックな、大学生の恋愛ファンタジー。

たいそう有名なタイトルです。
普段はこんなに一般的な人気本は手に取らないのですが、手近に所有していた人物がいたので借りてみました。

読み始めて「かなり独特な本であるなあ」と思いました。
一人称小説でここまで自虐的かつ饒舌な文章を読んだのはこれが初めてなのではないか。とても面くらい、ものすごく読みにくく感じ、どうじにとてつもなくウザく思いました。

なにがウザいといって、物事を一記すたびに妄想と蘊蓄が五つくらい爆発するあたり。

さらに問題なのは、爆発した破片のほうがかなり面白いこと。

あたまが爆発した破片に吸い寄せられてしまうので、ストーリーについていけないよー状態になるのです。

というわけで、ウザいんだけど面白い。面白いんだけどウザくて疲れる。という状態で懸命に読み進みました。自然と読むのに時間がかかり、集中力も途絶えがちです。一章終えるごとに息を切らしているかんじ。最終ページまでにたどり着くまでどれだけかかるのか、足もとはおぼつかず意識朦朧、迷路の中に入り込み、側溝に足を踏み外しして、なんとかかんとか読み終えました。

おもしろかった!(青息吐息で)

お話は大学のとあるサークルの後輩であるひとりの乙女と、彼女に恋して方向間違いの努力をくり返す先輩の、珍道中(ぜんぜん一緒に歩いてないけど!)です。
自虐的で弱気なくせにプライドは高い妄想野郎である先輩は、天然不思議ちゃんの乙女の道行きを一生懸命追いかける。けれど乙女は先輩の胸中などなにひとつ察せず、様々な人びととの出会いにむじゃきに喜び、笑い、楽しみます。

ああ、なんという悲喜劇→おもに先輩のみ。

乙女を助け先輩を挫くのは、二人の周囲に配された個性派ばかりの登場人物。尋常ならぬ力をもつものから、尋常ならぬ性格のもの、尋常ならぬ存在のものまで、よりどりみどり。

大きな緋鯉のぬいぐるみや、由緒正しい詭弁倶楽部、まぼろしのカクテル偽電気ブランなどなど。珍妙なアイテムもごろごろと転がっています。

どこか古風なたたずまいを感じるのは、主役二人の一人称の古めかしさと舞台となった京都の雰囲気がそうさせるのでしょうか。

なんとなく『百鬼夜行抄』を京極夏彦が脚色しているような印象を受けたのですが、どこぞの感想で「高橋留美子ワールドを文章化するとこうなる」というのを目にして、ああそうかもしれない、とも思いました。高橋留美子の『めぞん一刻』が小説だったらこんな感じかも……。高橋留美子が描いたら乙女はもうすこし現実的になりそうですが。

というわけで、疲れましたが楽しかったです。
悪の総元締めと噂される李白さんご当人とお住まいとに惚れました。

ところで、先輩と乙女はいったいなんの倶楽部に属しているのでしょうか。
詭弁部じゃないですよね?(汗。

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