『Twelve Y.O.』

Twelve Y.O. (講談社文庫)
福井 晴敏
4062731665


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借りて読了。


とある極秘文書を盾に在日米軍を脅迫しつづけるテロリスト、トゥエルブ。かれを慕い護る少女ウルマ。巻き込まれたトゥエルブの知り合いである自衛隊員・平の視点で歪んだ日米関係の裏でうごめく思惑と駆け引きをアクションとともにスリリングに描く、軍事サスペンス小説。第四十四回江戸川乱歩賞受賞作。

軍事物です。ハードです。痛いです。大風呂敷です。
なによりも、ページが真っ黒です。こんなに字で埋めつくされた本って、久しぶりに見たような気がするわ……。そういう意味で、見ただけでカンドーした。

メカメカしいアクションシーンはかなり面白かったです。ヘリコプターものは初めて読んだから意味不明部分が大半なんですが、こまかく書いてあるとなんだか臨場感にひたってしまいます。ここに書かれている武器はきっととてもリアルに書いてあるんでしょうね……検証する知識はないのでたんに雰囲気に酔いましたと告白するだけですが。

どんどん転がっていくストーリーで、緊張感の途切れぬままに一気に進みました。いろいろと疑問は湧いてくるんですが、それを検証する知識はないので、そのままスルーです。この後どうなるのかに一点集中。ひろがりつづける風呂敷にとまどい気味ながらも一冊で終わるんだから、と言い聞かせて最後まで。

うわあ、とんでもないわ、このクライマックス!

ラストは興奮の冷めてゆくカタルシスに浸りました。

でも最後まで疑問は残りました。
その疑問が「戦う女の子ウルマ=理沙ちゃんはふつーの肉体を持った人間でしかなかったの?」だったのが我ながら何とも言えなかったりして(汗。

そこから話をふり返ってみると、うーん、なんだか薄味なかんじが。
たとえていうならアクション大作映画のノベライズのような物足りなさが残ります。
枚数制限とかキャラクターを勝手に改変できないとか、そういう不自由さから生まれた、ストーリーとシーンは派手な原作を忠実以上に再現したノベライズ作品。

物語が事件を描いてドラマに行き着いていないという印象を受けました。

そのワタクシ的なポイントが、理沙ちゃんの設定なんだと思います。
理沙ちゃんが特に選ばれてそこにいる理由が、希薄に感じられた。
理沙ちゃんがその活躍に見合うだけの力量と闇をそなえていないように思える。

ようするに、

義体化してもいない、特甲児童でもない、アンゲルゼでもない女の子がこんなに強いわけがないじゃん!

と思ってしまうわけです。これで私が何と比べていたかがバレバレです(苦笑。

常識的なリアリティーを追求して、ドラマ的なリアリティーが失われた、ような気がします。

理沙ちゃんがフツーの人間なら、こんな役割を与えてはいけなかったのではないかと私は思う。素直にトゥエルブを中心にしたほうがスッキリしたと思う。あくまでワタシ的には、ですけどね。

私が感情移入できたのは自衛隊で世をすねていた平さんの復活劇のほうでした。
でもさ、パニック障害があんな荒療治で治るかなーという疑問は残るよね……。

ところで、この本は福井晴敏面白いよという推薦者に「じゃあ、一番面白い物を貸して」といったら「一番面白い物はこれを読んでから読むほうがいい」といわれて借りた、オードブルでした。

このあとでその「一番面白い」はずのメインを借りる予定です。

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