『風の王国 黄金の檻』

風の王国―黄金の檻 (コバルト文庫)
毛利 志生子
4086012340


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吐蕃に嫁いだ唐の公主・李翠蘭の半生を描く、歴史ロマン。シリーズ十七冊目。

吐蕃王に復帰したソンツェン・ガムポの命により西の大国シャンシュンへと向かった翠蘭は、シャンシュン国内の不穏な空気を感じていた。シャンシュン王に嫁いだ義妹セーマルカルは離宮に離れ住み、王自身も外界とはほとんど没交渉。王家の支配がゆきとどかずに地方貴族への抑えはなく、治安はひどく悪化している。豊かな資源で潤っていた往事のシャンシュンはなぜ堕落していったのか。セーマルカルの離宮に訪れた使者は王命を口にしながら、道中で翠蘭を拉致しあるところへと連れ去る。



あいかわらずハードですなあ……。
歴史ものでもファンタジーでもSFでもそうですが、社会がゆれ動いているときを舞台にした物語では主人公が体力勝負になることが多いです。

翠蘭も公主として吐蕃王に嫁ぎ、王妃となったのに、なんでこんなに物理的サバイバル状況に追い込まれてしまうんだろう。
今回も生きるか死ぬかの瀬戸際に何度も追い込まれてますが、そのたびに尋常ならぬ生命力を発揮して寸前で切り抜けています。いや、ほんと。人間業じゃない。

私が翠蘭なら、たぶんリジムに逢う前に死んでます。

というわけで、なにがそんなわけなのかわかりませんが、波瀾万丈、権謀術数、体力限界、な状況を、知恵と勇気と体力で脱出する翠蘭、見事です。

神の落とされる災いも大変な難事には違いありませんが、人間同士の感情がらみの暗闘というのは、ほんとうに困ったものですね。それぞれにそこにいたる事情があってそれなりに理由はわかる、だからといってそのまま放置はできないが、解決するにもさまざまな思惑がからんで、すぱっとした解決は望めない。その場その場で最善の選択をと望んでも、それこそ神ならぬ身ならば視界は限られてくるし、影響を及ぼせる範囲にも限界がある。

そんななかでもあきらめない、投げ出さない、という翠蘭の姿勢が、このシリーズの魅力なんだろうなーと思いました。

展開は速くするりと読めましたが、読後が重たい一冊だった。

シャンシュン国内の事情がわかったので、これからは敵と味方とどちらでもない陣営がくんずほぐれつで展開しそうです。

劇的に再登場したあの人物の安否は。
ソンツェン・ガムポの密命をおびたサンボータの行く先は。
翠蘭と別行動になってしまった随員たちはのその後は。

つづきが大変気になります。

ところで、なりゆきで翠蘭の道連れとなったセムジェンさん。まさか表紙イラストの方だとは思いもしなかったのであとのイラストで吹きました。

ええっ、若いよ、若すぎる!

私の脳内イメージのセムジェンは、むさい中年男だったんだよー。

ちょっとショックを受けたまま、つづきを予約したいと思います……。

風の王国―砂の迷宮 (コバルト文庫)
4086012642

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