『蜘蛛の巣 下』

蜘蛛の巣 下 (創元推理文庫)
ピーター・トレメイン 甲斐 萬里江
4488218083



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読了。

七世紀半ばのアイルランドを舞台に、うらわかき女性法廷弁護士フィデルマが事件の謎解きに挑む時代ミステリシリーズ。邦訳第一作ですが、シリーズとしては五作目だそうです。

上巻を読んだのはいつだっけ……遠い目。

ちょっと長い間放置してましたが下巻を借りてきました、読みました。

もとは農場の相続権を争う裁判を担当したフィデルマが、かれらの首長殺害事件の法廷開催の依頼を受けて訪れたのは美しい山奥の隠れ里のようなところにある豪族の集落。
ところが、犯人と目されていた人物はヘレン・ケラーのような三重苦で罠にはめられたとしか思えない。真実を求めて捜査するうちにつぎつぎに起きる殺人事件。
小さな集落にからみもつれあった損得と感情の蜘蛛の巣。はたして、慈愛深きと讃えられていたはずの首長の真実の顔とはいかなるものであったのか。

上巻では延々と状況証拠が積み重ねられていましたが、下巻ではそれが一気に収束していきます。
展開はかなり速く、あらたな証拠がどんどん開示されていきます。おかげでフィデルマの態度がそれほど気になりませんでした。生まれ良き賢いエリート法廷弁護士の彼女、かなり高飛車なんですよね(苦笑。

ひたひたと押し寄せる謎? がメインだった上巻を読んでからかなり時間が経っているのでその雰囲気を味わうことができなかったためか、人間模様の描かれ方がなんだか唐突。説明するはずだった人たちがどんどん先に死んでいってしまってて、他人からの又聞きばかりが証拠というあたりも原因かしら。なんだかぼやけた感じの話だったなあ……という印象が残ってしまいました。

話の後味もなんだかなあ。

全体的に七世紀アイルランド先にありきで、ストーリーテリングがぎこちない気がしました。このへんは『イスタンブールの群狼』とちょっと似てるかも。でもイスタンブールのほうが雰囲気は濃厚だった気がする。七世紀アイルランドは社会の仕組み説明のほうが雰囲気よりも勝ってた気がする。なるほどーといろいろあらたな知識が増えてそのへんは楽しかったのですが、やはりお話自体が面白くないとなー。

しかし私の敗因は、ツンデレヒロインのフィデルマさんが好きになれなかったのが一番かも。
多分著者の好きなタイプなんだろうとか勝手に憶測したりしてました。

私としては年老いたドルイド、ガドラさんに探偵して欲しかったな、と強く思いました。そしたらフィデルマ・シリーズじゃ無くなっちゃうけどね。そういう私はもちろん修道士カドフェルが大好きです。

ところで、五巻目からというシリーズの翻訳順にはべつに言うことはないのですが、訳註で未刊のストーリーのネタバレするのはいかがなものかと思います。

蜘蛛の巣 上 (創元推理文庫)
甲斐 萬里江
4488218075

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