『ディミティおばさま現わる 優しい幽霊1』

ディミティおばさま現わる (ランダムハウス講談社文庫)
ナンシー・アサートン 鎌田 三平
4270102292



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読了。

現代アメリカとイギリスを舞台にしたコージーミステリ風味のハートフルファンタジー。


三十代になったロリの生活は負のスパイラルに突入していた。離婚ののち、生活に苦しんでいるうちに意地を張って遠ざけていた母親が死去したのだ。父親をはやくに亡くしたロリは楽天的な母親によって育てられてきた。幼い日に母親がしてくれたディミティおばさまのお話はいまも大切な宝物だ。だが、派遣社員の薄給でみすぼらしいアパートでみすぼらしい私服に身を包み、食べるものにもことかく日々に気持ちがくじけそうになるのも事実。そんなある日、ロリのもとに法律事務所から手紙が届いた。その手紙は架空であったはずのディミティおばさまの死を伝え、至急連絡を請う旨が書かれていた。



現実と幻想がほどよく交じりあったちょっと歳を食った乙女向けファンタジー(笑。
死去したというディミティおばさまの存在感の大きさがこのお話のポイントです。

初めは架空の存在と思われていたディミティおばさま。
実在が判明した途端に死去していることまで判明。
はたして、ディミティおばさまとはいかなる人物だったのでしょう。

ディミティおばさまはどうしてフィクションになったのか。
母親との関係は。
何故、死亡後にロリに連絡が取られるようになっていたのか。

ロリはおばさまの依頼とは別に母親から託された謎解きに乗り出すことになります。
様々な過去を発見する度にディミティおばさまの実像が見えていく過程はミステリそのもの。
ですが、そこに本人が介在するところがファンタジーなんですね。

私は、ディミティおばさまの実家であるイギリスの家屋敷の描写がとても好きだなーと思います。
古きよきものをそのまま残して現代的な便利さもかねそなえた、料理ベタにも優しいお屋敷です。
この素敵なところがロリの幼い日の夢の舞台。
そしてロリの再生の舞台なんですね。

この話は、現実に傷ついた女性にまだ夢を求める権利はあるのよーと応援しているような話だなあと思いました。
ディミティおばさま関係の話はとてもよかったとおもいます。

そしてワタシ的にはロリのロマンス部分はどうでもよかったというかいらない気もした。欧米ロマンス小説の匂いというのがあんまり好きじゃないんですよね……。
でも恋愛部分がないとちょっとマヌケな話になるかもしれないという気もするし、うーん。まあ、ビルはマッチョじゃないから許すことにします。

ところで、このお話、〈優しい幽霊〉というタイトルの一巻で、すでに二巻も出ている模様なのですが。
こんなにきれいにまとまってるのにシリーズにする意味があるのかという疑問がふつふつと。

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