『惑星CB-8越冬隊 航空宇宙軍史』

惑星CB-8越冬隊 航空宇宙軍史シリーズ (ハヤカワ文庫JA 165)
谷 甲州
B000J7HN9U



借りて読了。

氷に閉ざされた惑星で生きのびるために観測隊員たちがむかう苛酷な旅路を、ハードなSF設定の元に乾いた文章で描く、未来ハードSF冒険小説。「航空宇宙軍」シリーズの開幕編。


独特の環境を持つ氷の惑星CB-8。近日点の通過を迎えた惑星は、大規模な地殻変動に襲われた。汎銀河資源開発公社の人工太陽による開発計画の先鞭として送り込まれた観測隊員であるパルバティたちは、混乱のなかで暴走を始めた人工太陽を停止させるべく、決死の強行軍を科される。極寒の氷の平原をいくかれらは任務を遂行することができるのか。




 惑星CB-8の独特な設定によって生み出された凍てついた世界。そこでくり広げられる決死のサバイバル。

 この作品はハードSFの舞台をもってあらわされた山岳冒険小説なのではと思いました。

 極寒の世界における氷河やオープンクラックやなにやらの厳しい環境と、極限状況での登攀や休憩などのサバイバル術の描写がたいへんに細やかにリアル。そしてひとつの決断に命がかかるシビアな状況。つぎつぎに命を落としていく仲間たち。

 ハードで醒めた文章が突き放したようにえがく、そのかわいた雰囲気がたまらなく好きです。

 そうだ、私の好きな冒険小説はこういうのだった。

 と深く納得して読み終えました。
 面白かったー。

 とはいえ、「航空宇宙軍史」シリーズとしてはあれ? と思うことがたびたび。

 汎銀河人てなんだっけ。地球人はどうしてこんな状況になってしまったの。というより航空宇宙軍そのものがでてこないし。あれあれあれ?

 「航空宇宙軍史」シリーズ物のほかの作品は読破しているはずなのに。しかし自分の記憶に自信の持てない私がたんに忘れているだけかもしれない。

 ものすごく気になったのでネットでちょっくら探してみました。
 すると、シリーズ最終巻『終わりなき索敵』でその意味がわかることになっていたことがわかりました。

 そういえば私は『終わりなき索敵』を読んだときなんかよく理解できなかったんだよなーという記憶が甦ってきた。そうか、その理由はこの『惑星CB-8越冬隊』を読んでいなかったからなんだ……。

 こんなに重要なことに読後十年以上経ってから気づくなんてうかつというにもほどがあります。

 シリーズ物の冒頭はちゃんと読め、という教訓を得た読書でした。

 でもたしか図書館にこれだけなかったのですよ。だから読めなかったのですよ。けしてめんどくさいとかうっかりしていたとかではないのですよ……。

 ところで「航空宇宙軍史」シリーズはとっても面白いですよ。
 といまさらですがお薦め。
 以前なにかの対談で『プラネテス』の作者のひとが影響を受けたと語っているのを読んだことがあります。

 あ、『プラネテス』のひとって『ヴィンランド・サガ』のひとだった。

 でも絶版なのかしら……(汗。

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