『裏切りの月に抱かれて』

裏切りの月に抱かれて (ハヤカワ文庫FT)
Patricia Briggs
4150204667



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読了。

妖精や人狼、吸血鬼などが生きている現代アメリカを舞台に、コヨーテに変化する能力を持ったヒロインの活躍を描くアーバンファンタジー。


アメリカのトライシティーズで中古車修理業を営むマーシィは、じつはネイティヴアメリカンの父親から受け継いだコヨーテに変化できる“ウォーカー”だ。ある日、彼女の元に人狼になりたての少年が着の身着のままの姿で雇ってくれないかと訪れる。人狼はとても危険だがマーシィは生い立ちのおかげでそのあつかいに多少慣れていた。マックと名乗った少年をアルバイトとして雇ったマーシィは、マックを追ってやってきた、余所者の人狼たちとのトラブルに巻き込まれることになる。



これはものすごく、面白かったです!

タイトルがロマンス物みたいな雰囲気なんでちょっとおそるおそる読んだのですが、ロマンスもあるけどメインは柔軟でしたたかでなおかつ支配されることを嫌うヒロイン・マーセデスが、人狼たちの抗争に巻き込まれるというサスペンス。

科学技術の進歩で隠れきれなくなったフェイと呼ばれる妖精たちが、自分たちの存在を公然化した現代アメリカで、人狼たちもカミングアウトの機会を狙っている、そんな時期。

トライシティーズにあらわれた謎の人狼組織とかれらによる頭目宅襲撃に端を発する謎だらけの事件を追いかけて、人狼やグレムリン、吸血鬼、それからもちろん人間も入り乱れての、大活躍をするストーリーは、テンポがよくぐいぐいと引き込まれます。

登場するキャラクターの属性だけでない個性がバラエティー豊かでとても楽しいし、マーシィの日常生活感にあふれた描写はアメリカミステリを読み慣れた身には親しみやすいし、太い骨に熱い肉をまとった人狼の重要人物(?)たちの存在感は生身の温かさのうえ色気も漂わせていてなんともいえないムンムンさです。

そういえば、人狼って肉食系以外の何者でもないですな(苦笑。

そんなトライシティーズ人狼のアルファ(頭目)である軍人系俺様タイプのアダムと、北米の人狼全体を統括する大ボスの息子・頭脳系癒しタイプのサム、ふたりの人狼の、味方ながらもいろんな意味でのせめぎ合いの間に挟まれて困惑しながら、アダムの娘ジェシィの救出に尽力するマーシィの姿がとても好ましかったです。

ヒロインは三十代ですこし薹がたってるかなと思いましたが、相手が不老の人狼だとただの小娘としか言いようがなかったり(苦笑。

「現代ロマンティック・ファンタジイ」と銘打ってありますが、この形容、読み終えるとあながち間違っていないような気がします。

ですが、読み始める前にこれをみると、かなりの確立で誤解しそう。

なんといって紹介すればいいのかなあ……とっても悩んでしまいましたが、よい文句が浮かんできません。

ファンタジー要素よりも異形変身要素のほうの印象が強い、限りなく現実に近い女性向けサスペンスといったら通じるかなあ……。

ともあれ、現実的な考え方をする女性が等身大の活躍をする、ちょっと現実から離れたお話を読みたい方にはかなりおすすめ。

人狼好きには超絶おすすめの逸品です。

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