『赤き死の訪れ』

赤き死の訪れ (創元推理文庫)
Paul Doherty
4488219039



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読了。

一四世紀後半のイングランド。ロンドン塔を舞台に起きる予告連続殺人を国王の検死官と托鉢修道士のコンビが捜査する、時代ミステリシリーズの第二作。

大酒飲みで豪放磊落、小柄な奥さんをこよなく愛する大男ジョン・クランストン検死官と、郊外の貧しい教会で暮らす星好きで生真面目なアセルスタン托鉢修道士。

ふたりの活躍する時代ミステリの第二弾は、舞台があのロンドン塔です。
まだ歴史的な数々の処刑逸話は生まれていなかったみたいですが、それでも十分に血塗られた経歴を重ねてきたロンドン塔。

その城主であったラルフ・ホイットン卿の死から話は始まります。

このシリーズの魅力は中世都市のリアルな日常描写だなーと思う。
今回もにおいたつように細々と徹底的にリアリティーを重視した書き込みがなされています。
中世のロンドンの下町が現代から見るとどれほど不潔で鼻が曲がりそうな街だったか、自分が歩いているような臨場感でつぶさにわかります(苦笑。

とはいうものの、この時代にはまだ不潔という概念は無かったらしいんですけどね。
病気の感染などの科学的な仕組みなど知られていなかった時代は、汚物もそれほどは嫌がられていなかったみたいです。
穢れというのは精神的な概念で物理的なそれではなかったというところでしょうか。

それでも臭いのは臭かっただろうから、それを香水などでまぎらわすなどはしていた模様ですが。

それに読んでいくうちに、高級住宅街はゴミまみれというわけではなく、きちんと掃除がゆきとどいていたことがわかってホッとしますw

と、リアルな中世都市ロンドンでいろんな居酒屋をハシゴして、ロンドン塔の内部もいろいろ観光できて(?)、貧しい教会の実態に関するルポルタージュ(?)もあり、その上でドラマティックな連続殺人を追うストーリーが展開する、まったく飽きの来ない楽しい読書でした。

十字軍関連のエピソードもあります。

しかしやはり私の興味はひとびとの日常に向かいがちですね。
教会のまわりをうろついていててアセルスタン修道士のささやかな憩いになっている猫、ボナベンチャーなんかがもっと出てきて活躍してくれるといいのに、とか思っているのでした。

シリーズはつづきが出ている模様です。

神の家の災い (創元推理文庫)
Paul Doherty
4488219047

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