『鹿男あをによし』

鹿男あをによし
万城目 学
434401314X



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読了。

現代の奈良を舞台にした和風学園ファンタジー。ただし主人公は男性教師。


大学院の研究室で助手との折り合いが悪くなり、“神経衰弱”とあだ名をつけられたおれは、教授の薦めで奈良の女子校に化学教師として二学期の間だけ赴任することになった。東京の東で鹿島神宮を崇める母親の元に育ったおれは奈良といえば大仏と鹿しか思い浮かばない。九月半ば、赴任して初めての担当クラス1-Aで緊張しきったおれはほんとうに女子生徒ばかり並んでいる教室に恐慌状態に陥りつつあった。そこにひとり生徒が遅刻して現れた。堀田イトという古風な名前のその生徒は、遅刻の理由はマイシカが駐禁をとられたからなどと理解不能な嘘を反抗的についた。なのに遅刻が三回たまると学年主任に呼び出されるので遅刻にしないで欲しいという。職員室で馬鹿にしていると愚痴っていたのが学年主任に聞かれてしまい、堀田は学年主任に呼び出されることになった。翌日、おれは教室の黒板に「チクリ」と書いてあるのを発見した。



ドラマ化もされた大ベストセラーです。
ふだん売れ線はあまり読まないし、ドラマもほとんど興味がないので見なかった。
なのになぜ今頃読もうと思ったかというと、寝込む前にレンタルビデオ屋で玉木宏のジャケットをみたからという……(汗。そこでDVDじゃなく本を借りるのが天の邪鬼たる私の面目躍如?

というわけで読み始めたわけですが、とたんに玉木宏は吹き飛びました。
ちがうじゃん、ぜんぜん違うじゃん。

でも面白い、いやとても面白い、ううんすごく面白い!

最後まで一気に読み切りました。
一気読みは普段しないのですが、止まらなかったんです。
読み終えたときはどーっと疲れが出て、しばらく放心状態になりましたが。

初めは神経衰弱な男が女子校で翻弄される話かと思ったのですが、たしかに男は翻弄されつづけるけど生徒たちにではなく、主な原因は鹿にあったということが序盤で判明します。

奈良の鹿。
鹿せんべいを目にするとほんとうにお辞儀して近づいてくるのだろうか。
びぃと鳴くのだろうか。
ポッキーも食べるのだろうか。

鹿と出会った主人公は混乱と不審と不安のなかで、国家の大事に関わるとんでもない出来事に巻き込まれてしまいます。

でも雰囲気はちょっとのんきな感じ。
なにしろ鹿だしなー。

同僚に案内されて奈良の名所めぐりも楽しめます。
私は一度も行ったことがないけれど、紫の夕焼けは見てみたいかも。
視覚情報が主で、触覚嗅覚はそれほど刺激されない文章でしたが、一人称なので致し方ないか。

ここだけは映像で見た方がいいかもしれないなあ、などとおもいつつ。

思わぬところで歴史を遡り、古代日本史にまで到達したときには、はれやかに笑ってしまいました。

これって本当にファンタジーだったのねw

英雄的な人物はでてこない、それぞれに個性はあれどもおおむね凡人ばかりがそれぞれの時間を生きていて、それがふとした瞬間に交錯して何かを生みだしていく。

そんなちょっと不思議でほのかなぬくもりを感じる、なかなか素敵なお話だったなあと思います。

鼠がおばちゃんなのは仕様かしら(苦笑。
狐がほとんど出てこなかったのがちょっと残念。
でも、鹿がすっとぼけていて大変にチャーミングでした。

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