『第七官界彷徨』

第七官界彷徨 (河出文庫)
尾崎 翠
4309409717



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読了。

1931年に執筆された“忘れられた作家”尾崎翠が再発見される契機になった作品。

なんとなく周囲で話題にのぼっていたのと、タイトルに覚えがあったので借りてみました。

五官と第六感を越えた第七官にひびくような詩を書きたいと望む、田舎から都会に出てきた女の子が、兄と従兄弟の三人の男所帯で炊事係をする。かなり変わった登場人物たちの日常を淡々とユーモア混じりに描いていく中編。

戦前に書かれたことが信じられないくらい、すんなりと読める作品でした。
ちょっと昔の文学系少女マンガ、いまならそこらへんにふつうの小説として売られていてもおかしくないような、非日常的日常小説。

登場人物の奇天烈さが当人たちのおおまじめっぷりににじみでるおかしさが、そこはかとないもの哀しさとともに印象に残る、奇妙なお話でした。

そこかしこに見うけられる奇天烈な言動をくすくすと笑ってしまいながら読みました。

これを戦前に読んだら、私はどんな反応をしたかしらん。
戦前には生まれていないのでそんなことを想像しても無意味なのですが、そんなことをおもってしまうくらい現代的な作品でした。

とはいえ、またほかの作品を読みたいとおもうほど私の好みずどんではなかったけど。

ところで、タイトルに覚えがあったのは、谷山浩子さんの曲に「第七官界彷徨」というのがあったから。
どうやらこの作品をもとに浩子さんは音楽劇なるものをしてらしたみたいです。
アルバムにも収録されています。


月光シアター
谷山浩子
B0006ZJD0W


収録曲を見ると、なるほど……とうなずけるものが。


1. 空の駅
2. ありふれた恋の歌
3. ねむの花咲けばジャックはせつない
4. 片恋の唄
5. 道草をくったジャック
6. 第七官界彷徨~intermission
7. パラソル天動説
8. 雨の国・雨の舟
9. ハートのジャックがパイとった
10. ウサギ穴
11. 公爵夫人の子守唄
12. ハートのジャックが有罪であることの証拠の歌
13. アトカタモナイノ国
14. きみの時計がここにあるよ



私は予備知識なしで聴いていたので、すべて不思議の国のアリス関係の曲なのかと思ってました。
アリスでも音楽劇をつくってらしてそちら関連の曲も収録されているようなのですが、どうもよくわからないなと思っていたのは『第七官界彷徨』関連だったようです。「ねむの花咲けばジャックはせつない」とか。

もしこの本がお気に召して谷山浩子さんに興味があったら、聴いてみてもいいかもしれません。

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