『甲蛇の書 暁と黄昏の狭間IV』

暁と黄昏の狭間〈4〉甲蛇の書 (トクマ・ノベルズEdge)
西魚 リツコ D-SUZUKI
4198508046



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いただいて読了。


泥臭い臨場感と感傷抜きの展開で読ませる、壮大なスケールの異世界ファンタジー。シリーズ第四巻。



ワンと呼ばれる七つの力の存在する世界。小国ドムオイの鍛冶職人の娘セフルは、若き騎士ギルダン・レイとともに無法の地『赤い平原』を旅していた。神を畏れぬ組織ヘン=ジャックに狙われつつ、耐魔力を持つ鉄器をつくるという部族を求めての旅である。リヴォ軍のケリードの追っ手アザポーに追いつかれたかれらは、アザポーの一族コータダ族の虜となった。セフルたちの味方としてふるまうアザポーだったが、疾風船を操るヘン=ジャックを恐れ憎むコータダ族は、セフルとギルダン=レイを鳥人の呪いをうけたものとして扱う。




図書館の本が行方不明となりずっと続きが読めなかったもの。響子さんからいただいてようやく読めました。

面白かった!

余分な枝葉のない、かつ必要十分なだけのディテールはそなえた、豊穣を推測させうるだけの深みを持った物語世界で展開される、骨太な物語です。

表向き、孤独な少女セフルと、悲劇の運命を背負った騎士ギルダン・レイの、放浪と遍歴と恋の物語です。

でも、まずなんといっても神と人間、つまり世界と人間の関係を模索する物語だなあと感じる。

それは大国の争いの間隙を縫って暗躍する魔術師の組織ヘン=ジャックに象徴されてます。

セフルとギルダン・レイは人々の争いや戦いに巻き込まれ、翻弄されていくのだけど、かれらの本当の敵はじつはヘン=ジャックの仕掛ける罠であり、かれらは神という存在の象徴する世界の一員として、世界をみずからのものとして管理し利用しようとするヘン=ジャックと対抗する役割を担わされているわけですね。

世界の支配者として頂点に立とうとする人間。
いっぽうで、世界の一部であることを認識し、世界の中で調和をとろうとする人間。

どちらの姿勢を選択するか。

これっていま切実に問われている問題そのものなんじゃないかと、ふと思う。


そんな堅苦しいことを考えずとも、ヒロインとヒーローがたいそう困難な状況に陥りつづける陰謀と冒険と力強い幻想力のファンタジーとして楽しむことができるお話なんですが、ほんとうに情け容赦なく苛酷なので、疲れた心で読むのは止めたほうがいいかもしれません(汗。

でもこの苛酷さと人間くささとストイックな雰囲気は一度はまるとやみつきになります。

描写も展開も人間関係もエピソードも、ときに腐乱臭や汚泥臭や汗臭さがただよったりしますが、基本的にとてもストイックだと思う。

骨太の引き締まった肉体と途方もない魔力に満ちた異世界ファンタジー。

そういうものが好きな方にはおすすめです。

つづきもすみやかに読みたいと思います。

暁と黄昏の狭間〈5〉月虎の書 (トクマ・ノベルズEdge)
西魚 リツコ D-SUZUKI
4198508089

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