『月虎の書 暁と黄昏の狭間V』

暁と黄昏の狭間〈5〉月虎の書 (トクマ・ノベルズEdge)
西魚 リツコ D-SUZUKI
4198508089


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いただいて読了。


地に足の着いた物語世界とハードでスリリングな展開でぐいぐい読ませる、シリアスで重厚な異世界ファンタジー。シリーズ第五巻。



世界を巡る生命の力ワンとその力を操る魔呪師ジーヴァの存在する世界は、人間がワンを利己的に操り消費しつづけたために調和がみだれ始めている。その最先鋒である組織ヘン=ジャックの暗躍によって運命を大きく狂わされたドムオイの鍛冶屋の娘セフルは、騎士ギルダン・レイとともに敵国リヴォの参謀総長ケリード・ゼメスタンによってリヴォの都リアナへと連行された。表向きは賓客として遇されるふたりだったが、ヘン=ジャックへの憎悪を募らせるギルダン・レイはかれらと通じていたケリードとリヴォに対する復讐を企てようとする。一方セフルはかつてドムオイを危機に陥れたオラの密偵イリエス・カザン伯爵夫人の姿をみつけ、不安を募らせる。




なんなんでしょう、この情け容赦のない怒濤の展開!
「流血女神伝」なみかもしれない、いやキャラサービスがまったくないストイックさで、さらに容赦なしかもしれない。

すでにドキドキワクワクを通りこし、ハラハラビクビクしながら読んでました。
とくに後半は次の局面が現れる度に阿鼻叫喚。
もうページを繰る手が止まりません。

だれが最後まで生き残るのか、不安で不安でしようがないなんて。
なんという厳しい物語なのか。
登場人物の誰にも甘えを許さず、作者自身も脇目もふらずに目的地に向かって一直線、という一冊でした。

この内容ならばあと100ページ多くても私は読むと思います。
なのに本当に必要な部分だけを書いて、すこし駆け足気味かと思われるところもありましたが、この分量にまとめてしまうところがすごい。

ギルダン・レイ卿が火の神ソーンの憎悪と共鳴するあまり次第に視野狭窄に陥っていくあたりの展開は、まさに悲劇によって暗黒面に墜ちていく騎士。

その原因と行き着く果てをうすうす悟りながら、愛する人を見まもることしかできないセフルの、もどかしさと無念と無力感。

さらには災いを振りまくサド女のように見えてじつは……だったカザンさんとか、いままで一方的に悪役としてしか出てこなかったヘン=ジャックの実情とか、いろいろと興味深いエピソードがてんこもりでした。

ひー、このあといったいどうなるんだ~~!

期待の叫びを心のなかで叫びつつ、続きの完結編を読みたいと思います。

そういえば、ギルダン=レイ卿。
大胆行為に走っておきながらなんの心情吐露も説明もしてないとは……言葉を惜しむにもほどがあります。

責任感でだと思ってるセフルが哀れなり……。


暁と黄昏の狭間VI 鳳船の書 (トクマ・ノベルズEdge)
西魚 リツコ D-SUZUKI
4198508402

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