『ピアノの森 14』

ピアノの森 14 (モーニングKC)
一色 まこと
406372610X



借りて読了。


恵まれない環境に生まれ育ったピアノの天才児・一ノ瀬海とかれをとりまく人びととのさまざまな人間模様を描く、音楽コミック。シリーズ第十四巻。


次第に海の物語ではなく、海と彼らとピアノの物語となってきた『ピアノの森』です。
海のこれからがどうなるという一点集中のストーリーではなく、海と出会ったそれぞれの運命を見まもるような、群像劇になってきたかなあという感じ。

物語はショパンコンクールの本選が始まったところ。
個性的な人物が個性的なピアノ演奏とともにつぎつぎに登場してきました。

前巻で阿字野先生の再来かと疑うような演奏をしたパン・ウェイだけでなく、華やかな存在感を放つポーランドの二十五歳とか、双子の韓国人とか、まだまだ現れそうな勢い……。

でもやはり別格の存在感を放つのは雨宮君。
海という傷が痛くて痛くてたまらないといったようにピアノを弾いている雨宮君。けれどそれがいまの雨宮君そのもの。海のいないかれは成り立たないというくらい存在そのものに海を刻みこんでしまったかれは、このさきも海を受け入れない限り苦しみつづけていくんだろうなあと思わざるを得ないシーンでした。

ああ、痛いよ。
でもその痛みが、昇華されさらに高みに到達させる原動力となりうるのが芸術なんですねえ。

テクニックはもちろん大事だけれど、それ以上のものをあらわして人をうごかすのは、やはり魂の底からの叫びなんだなあ。

芸術というものはどうしようもなくやむにやまれずに生まれるものなんだなあと、あらためてしみじみと感じてしまいました。

平穏無事に人生を送りたい人、送れる人がするものではないというような気が最近しています。
古代からの芸人の系譜を思うとほんとうにそう思う。

なんでこんなことを考えているのかなー、私は(苦笑。

ショパンコンクールはまだまだつづきます。
というか、コンクールが終わるときがこの話の終わるとき……なのだろうか。

ピアノの森 15 (モーニングKC)
一色 まこと
4063726754

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