『ミストボーン 霧の落とし子 3 白き海の踊り手』

ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT)
Brandon Sanderson
4150205027


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読了。


緻密な世界設定に切れ味の良いアクションが楽しい、スピード感あふれる異世界ファンタジー。三部作の第一部、完結編。



スカーと呼ばれる奴隷階級を虐げ続ける〈終の帝国〉。支配王を神と奉じるそれをひっくり返すために集った、スカー出身の百戦錬磨の盗賊達。だが、反乱軍は準備が整わないうちに都の守備兵と激突して大半が失われてしまった。意気消沈するチームに、首領のケルシャーは多大な犠牲によって生じた都の警備の隙を突くと宣言し、あらたな作戦を始動する。ケルシャーに〈霧の落とし子〉であることを見いだされ、貴族の令嬢に扮して情報収集の任務に就いた少女ヴィンは、大貴族ヴェンチャー家の令息エレンドに想いを寄せるようになっていた。エレンドと任務の間でゆれるヴィン。だが、エレンドはヴィンの素性に疑問を持ち始めていた。




面白かったですー。

なにが面白かったかというと、合金術のシステム的にきちんと整合性の取れた設定と、それによって生み出される現象をもちいて描き出されるアクションシーン。
まるでコンピュータゲームみたいなシステムだと思うのですが、ゲームと違うのは実際に使っている人がそのときどういう体験をしているか、コンピュータゲームでは絶対に味わえない感覚の部分で追体験できるところです。

体の中で合金を燃やして生み出される力がどのように肉体に作用するか、物質に働きかけるか。
熱さ冷たさ、肌がそそけだつような鋭敏さ、視界のひらけるようす、物を押したり引いたりして自分の体を飛ばしてゆく感覚、相手の力を感じとる感覚。

こういう感覚は映像では絶対に受け取れないものだなと思います。今は現実ではありえないのにものすごくリアリティーのある映像をいくらでも見ることができますが、文章だけに出来ること、文章を読む意味はここにあると思う。

それがすばやいテンポでどんどん切り替わっていくさまは、ほんとうにスピーディーで格好良くて、読んでいてワクワクしました。それくらい楽しかった。

ストーリーは、展開がはやいぶんだけ意表を衝かれつづけましたが、振り返ってみるとそれほど奇抜なものではないと思います。

登場人物達それぞれに付された背景もほのめかすだけでそれほど踏み込まず、ストーリーを進めることに絞った描写で、緊張感を持続したままいっきにラストまで駆けぬけた、という感じでした。

ヴィンの心情が内面から描かれていくのにケルシャーは外側からしか描かれなかった理由が、クライマックスでよくわかりました。

ケルシャーは……書くとネタバレなので自重します……。

怒濤の進み方なのに最後に余韻が残ったのは、大部分がかれの行動のためだったと思います。


このあと、第二部の刊行がすぐに開始されるそうですが、いったいどういう話になるのでしょう。全然予測できない。でもとても楽しみです。


ミストスピリット 1―霧のうつし身 (ハヤカワ文庫 FT サ 1-6)
ブランドン・サンダースン 金子 司
4150205094

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