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『ムーン・シャイン グラスハート3』

ムーン・シャイン―グラスハート〈3〉 (コバルト文庫)
若木 未生 橋本 みつる
4086141787


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読了。

青春バンド小説の第三巻。
短編一作を併録。


デビューシングルを発表し、本格的に始動したテン・ブランク。タイアップのおかげであっというまに知名度が上がり世間でも認知されはじめた。朱音の周囲でもささやかながら変化が始まっていたが、朱音本人はそれどころではなかった。ファースト・アルバムの収録が始まったのに、何度ドラムを叩いてもオーケーをもらえないのだ。どこまでも上を目指してやまない藤谷先生の追求姿勢に、バンドメンバーは精神的にも肉体的にも追い詰められて、一触即発状態にまで陥る。そんなおり、朱音は真崎桐哉のファン国東あゆみから助けを求める電話を受けとる。




天才藤谷直季がバンドに求めているのは自分だけでは作りえない音楽であり、他人を交えるからにはその個性を衝突ギリギリの限界までひきだしたすえに生まれる究極のアンサンブル、なのかなーと思わされた巻でありました。

愛するがゆえに殺す。

そんなことまで求められてしまうギタリスト高岡君の、それでもその要求を受けとめきってみせたつよさにカンドーしました。

藤谷先生はほんとうに音楽の世界の人なんだなー。
わかっていたけどあらためてそう感じた。
音楽にのめり込んでその世界ではけして妥協を許さない。
とことんつきつめて、自分の体を省みることなく突っ走ってしまう。
真性の芸術家。

なのにその音楽を自由にするために必要だからと、音楽以外のごたごたをもすべて自分でひきうけてしまうのは、井鷺氏に関わることなどの過去の苦い経験のせいなのかもしれません。
でも、藤谷先生には音楽以外のことで煩わされて欲しくないと、かれの庇護者達はみんな思っている。

藤谷先生には、実務家とパトロンをかねた大人の理解者が必要だと思ってしまう今日この頃です。
そういえば、この話、デキる大人がいないよね……。


同時収録された短編「ムーン・シャイン」は坂本君視点の話。
本編よりも時系列的には前の話で、坂本君の家庭環境とそれによって育まれた性格、藤谷先生や高岡君との距離感などがいろいろと興味深かったです。

ようするにだ。坂本君は自分はお子様だと知っていて誰にも寄りかからずに生きていける大人になりたいと願っているけれども、なかなか思うにまかせずあがき苦しんでいる青少年なんだってことかな。

他人を自分の言動で傷つけることに苛立って、自分をも傷つけている。
でも、どうしたらいいのかまだよくわからない。余裕がない。視野も狭い。経験が不足している。

そんなささくれだった若い心に、朱音ちゃんの存在が救いになっている。
自分のふがいなさを見せつけられない、見あげなくていい、でも見下ろすこともない、対等の立場だからかもしれません。

朱音ちゃんが前向きで元気いっぱいで裏表のない、余計な勘ぐりをしない女の子だからということもあるかな。

このお話はとても若いというか青いというか、思春期の葛藤を鋭く描いていて、いいなあと思います。

若い時にしか書けない話というものはあるよねーとこのシリーズを読んでいてひしひしと感じます。

さて、この巻ではまったく出番のなかった真崎桐哉君はどうしているのでしょうか。
というところで次巻にゴー、です。

嵐が丘―グラスハート〈4〉 (コバルト文庫)
若木 未生 橋本 みつる
4086142724

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