『中世ヨーロッパの都市世界』

中世ヨーロッパの都市世界 (世界史リブレット)
河原 温
4634342308


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読了。

ヨーロッパにおける中世都市のイメージと実態についての基本的な事柄について、平易な文章で解説する。

入門書という感じのとても教科書的な本ですが、基本的根源的なテーマを押さえてあり、とても勉強になった一冊です。

この本から読むのもいいですけど、ある程度の知識をもってから読むとなおさら「ああ、そうだったのか」感が強くなる気がします。
その点、とても抽象度が高い本ともいえるかも。
具体例も挙げてあるんですけど、実感をもってうけいれるためにはそのほうがいいんじゃないかと、そういう読み方をした私は思いました。

以下、目次です。


都市イメージの再考
1 中世都市の生成
2 中世都市のコスモロジー
3 中世の都市空間
4 中世都市生活の枠組みと人的絆
5 中世末期の都市と社会



私が目から鱗が落ちたと感じたのは、中世の人々が都市に対して抱いていたイメージというか理想の部分でして、キリスト教徒であるかれらがいかにイェルサレムを理想化して深い思い入れを抱いていたか、という事実を知った時、腑に落ちすぎてめまいがしたくらいです。


キリスト教徒の思い描いていたイェルサレムは現実のイェルサレムではなかったんですねえ。
そうか。だから十字軍なんて実態は侵略掠奪でしかない戦に、信念を抱いて参加することもできたんだなあ……。

宗教的な象徴と現実をわざと混乱させた先導者に猛烈に腹が立ちますが、その先導にのせられてしまうくらい、北西ヨーロッパのキリスト教徒って世間知らずだったんだな。

無知なることがいかなる惨状を生み出すかにしみじみと思いを馳せてしまうのでありました。

それから、中世の自治都市の実態について。
本当の意味で自由自治を得ていた都市はごく僅かであり、ほとんどが王や貴族の勢力下にあったという事実。
自由自治を謳歌していた都市が多いほどのちの中央集権化が遅れて、内乱状態が長びいてしまったというあたりにも、なるほどそういえばと思いました。ルネッサンス以降のイタリアなんて酷いものですもんねー。

都市があくまでも王権の元にあったフランスやイギリスがいちはやく大国になっていったのとは対照的。

と、こんなふうに大まかな流れをつかむのにとてもよい本だとおもいます。
ディテールを知りたいというむきには大まかすぎると思いますが、とても面白かったです。

中世ヨーロッパの農村世界 (世界史リブレット)
4634342405

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