『陽炎ノ辻 居眠り磐音 江戸双紙』

陽炎ノ辻―居眠り磐音 江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英
4575661260


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読了。

江戸時代の明和年間を始まりに居眠り磐音と異名をとる浪人を主役とした時代小説シリーズ、開幕編。



豊後関前藩の重心の嫡男・坂崎磐音は江戸から帰国したばかりで事件に巻き込まれ、浪人となり江戸へ戻ってきた。日雇いの口もつづかず貧乏長屋の家賃の支払いにも苦労する磐音を見かねた大家の金兵衛は、磐音に両替商の用心棒の仕事を持ちかける。金兵衛の紹介した今津屋はたちの悪い浪人達による嫌がらせを受けていた。その背景には老中田沼意次による貨幣改革への反発があるらしいという。




今をときめく(死語?)時代小説シリーズの第一巻です。
ドラマになったのを見て興味があったのと、先日本屋にて発売日買いをしにきたお年寄りに遭遇した(一日早すぎて買えずにお帰りになった)のと、確かめたいことがあるのとでちょっと読んでみようかという気持ちになり、借りてみました。

これは大変に読みやすかった。
時代小説の文庫はいま花盛りでそれはもうたくさんあちこちからレーベルが出てますが、字は大きく字間は広めで、改行がたくさん。購買層をはっきりと意識したつくりになってますが、文章と展開のスピード感もあいまって、さくさくっと読んでしまいました。

スピーディーなわりに内容的にも深みがあり、登場人物の造形こそシンプルですが、そこがまた読みやすさの要因でもあるのだと思います。

ワタシ的にはもうすこしお江戸の空気感を味わいたいかなと思いましたが、これはアクションもといチャンバラが目玉の話でもあるので、だらだらとしがちな情景描写はカットでよし、なのでしょう。

うーん。
これは中高年向けのライトノベルと言ってもいいのでは。

主人公のふだんは眠たい顔をしている坂崎磐音さんは御年二十七。
そのほかの登場人物も平均年齢が高めなため、思春期のエキセントリックからはすでに卒業、なんとはなしに話に安定感がありますし。
なにより勧善懲悪な話というのは安心して読めます。

じつに娯楽小説。まさに娯楽小説。そんな感じでなんにも考えずに楽しめました。

ええ、磐音さんが強すぎるのはお約束、なのです。

ドラマを見た限りではどうして「居眠り磐音」なのかさっぱりわかりませんでしたが(苦笑、原作を読んでなんとなく意図するところはわかりました。

つまり昼行灯型主人公を書きたかったんだろうなあ。
その点についてはあんまり成功しているとは言えない気がします。
磐音が江戸に舞い戻った理由が初めから明らかになっているせいもあるかも。
こういう設定は、たぶん若者向けラノベなら秘したまま話を進めて、あとで小出しに明らかにすると思うのですが、さすがせっかちな中高年向け。あっけらかんと書いてあってちょっとたまげました。

というか、この冒頭がもっともリアリティーがうすくて読み始めたばかりでどうしようかと思ったんだけど、最後まで読んでよかったです。

おもしろかったのでつづきも予約しました。
私の確かめたいことはこの巻には載ってなかったしな。

寒雷ノ坂―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
4575661309

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