『さよならピアノソナタ2』

さよならピアノソナタ〈2〉 (電撃文庫)
杉井 光 植田 亮
4840241953


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読了。

青春バンド小説のシリーズ第二巻。


ナオが出会ったのは世界的なピアニストだったが片手が動かなくなった少女・蛯沢真冬。他人を拒絶して周囲から孤立する彼女をギタリスト、ナオをベーシストとしてひきこんではじめられた高校でのバンド活動は、真冬がアメリカから帰国することで無事に再開された。しかし、四人のバンド演奏はなかなか上手くいかなかった。初めて合わせた時の絶妙なアンサンブルが戻ってこないのは真冬の演奏に違和感があるからだった。そんなおり、音楽による革命をめざす民俗音楽研究部部長神楽坂響子は夏休みに海辺の別荘で合宿をすることを宣言する。ナオの幼なじみでドラムスの千晶は一も二もなく賛成するが、真冬は拒絶の言葉を発して飛び出してしまう。




クラシックからロックまで、幅広くふかい知識をふんだんにおりまぜながら、ボーイミーツガールの青春の一ページを描く、みずみずしい青春小説です。

真冬のいまだ自分の居場所を疑っている猫のような反応に、どこまでも正直かつ鈍感な直巳くん。
読んでいれば真冬の気持ちが一目瞭然なのに、一人称の語り手がまったく気づかないこの状況を何といえばいいのでしょうか……溜息ついちゃう(苦笑。

思うに、直巳くんの自己評価はとても低いのでしょうな。
自分が恋愛の対象となることを考えてみたこともないのでしょう。
たとえば一度トライしたギターをすぐに投げ出してしまったように、ひそかにプライドが高いからこそ現状の自分への点がとても辛くなる。

真冬と直巳くんはそうやって青春してますが、それを目の前で他人として見せつけられつづける千晶ちゃんがとてもいい子で泣かせます。

あと、謎の神楽坂先輩の過去話にふーんとそうなんだーとおもったり。

相変わらず、話そのものにはあんまり共感できていない私がいるわけですが、この本の音楽関係の文章にはほんとうにドキドキワクワクさせられます。

同時進行で若木未生の「グラスハート」シリーズを読んでいるのですが、こちらの音楽描写の方が客観性があるなあと感じます。
一人称なのに音楽的な視野はひらけている感じがする。
蘊蓄が多いのも要因のひとつかと思うけど、冷静に分析して書いているような感じも受けます。
自分たちの出している音に関するところはけっこう感覚的なんだけれど、それでも他人の耳にどう伝わっているかも念頭においた書き方がされているような気がするのです。

だから、読みながら頭がぐちゃぐちゃになったりせず、スムーズに話は展開し、クライマックスに入るサスペンスなシーンで違和感なくラストへと収まるんだと思う。

娯楽小説として、より練られている、感じかなー。

だから話として面白い、と思う。
このあとどうなるのかなと好奇心がわく。

のですが、図書館に三巻がなかったりする……。四巻はあるのに……。

買おうかどうしようか、今悩んでいるところです。

さよならピアノソナタ〈3〉 (電撃文庫)
杉井 光 植田 亮
4048671820

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