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『嵐が丘 グラスハート4』

嵐が丘―グラスハート〈4〉 (コバルト文庫)
若木 未生 橋本 みつる
4086142724


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読了。

女の子の一人称による青春バンド小説。シリーズ第四巻。


走り始めたプロ活動はもう止まらない。アルバム録音がようやく終わろうという時、マネージャーの甲斐が持ち込んだテレビ出演の話に、テン・ブランクのリーダー藤谷直季はより効果的なやり方をしろと注文をつける。いっぽう、自然体を取り戻した西条朱音のドラムスに、いまやメジャー路線を突き進みつつあるオーヴァークロームの真崎桐哉が興味を示し、音源使用の依頼が入った。おなじ人物に恋する女として甲斐をライバル視してしまう朱音は、甲斐から桐哉と藤谷の複雑な関係をほのめかす話を聞かされて不愉快になるが、助けを求められた鮎見のその後を知りたくもあり、けっきょくは話を受けてオーヴァークロームのスタジオに向かう。そこで出会った桐哉は疲労しきって夜も眠れないありさまになっていた。




こうしてあらすじを書き出そうとしてもなかなかうまくすくいだせないのが、この話の最大の特徴のような気がする。

朱音ちゃんの感情と感覚が全開の一人称小説。
そのときどきの空気がリアルに伝わってくる反面、じっさいどういうことが起きているのかを理解するのにちょっとてこずるというか、現実には解説なんてつかないのだからこれがよりリアルなんだというか、とにかく、俯瞰して眺める視点が一切無く、この人物は全体を見守っているという安心感のある人物も一切登場しない、このさきどうなるのか全然予測できない、娯楽小説的なお約束展開がどこにもないスリリングな青春小説です。

だからこれはラノベとは違うよと私は思うのでした。
コバルトでは昔はこういう小説が主流だったんだよねえ……遠い目。

私は、ラノベというのは娯楽小説の一種だと思うです。
キャラクターが記号的ですぐに理解でき、話運びに定型があってなんとなく筋書きが読める。
ハーレクイン的なロマンス小説よりは自由度が高いけど、わりと不自由な形式なんじゃないかな、書き手によっては。話をコントロールしきってしまう職人的な書き手には腕の見せ所なんだろうけれども。

と、関係ない話は置いておいて。

恋する少女でバンド少女の朱音ちゃん、まわりに追いつこうとぎりぎりのところでテンパッているのが辛そうであり、またうらやましくもある、そんな読後感でした。
こんなに密度の濃い時間を青春時代に送れたら、それってとっても大切な宝物になるよね。どんな結果が待ち受けてといようとも。

なんて不吉なことを書いてしまいましたが、このテン・ブランクの方々、自分たちがしあわせになるために音楽やってないというか、音楽を極めた末に訪れる至福しか追い求めていないんだ。
ゆとりまったくなし、すべてが綱渡り。

必然的にひりひりするような痛々しいシーンが続出。
書いてる方にも余裕無い感じがひしひしと伝わってくるという。

でも、そこがこのシリーズの、生でリアルタイムで刻まれていく「今」という時間を描いていく物語であるという美点に最終的に繋がっているんだなと思いました。

これは回想録なんかじゃない、今、現在の話。

だからこの先どうなるのかはつぎの瞬間が訪れてみないことにはわからないんだろうと思うわけです。

というわけで、つづき行きます。

あ、完結編が出たところからシリーズが再刊行される模様。
もうじき第一巻が出るらしいです。

いくつかの太陽―グラスハート〈5〉 (コバルト文庫)
若木 未生 橋本 みつる
4086145928


GLASS HEART 「グラスハート」
若木 未生
4344819063

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