『恋のドレスと聖夜の迷宮 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

恋のドレスと聖夜の迷宮―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
408601355X


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いただいて読了。

ヴィクトリア朝時代のイングランドを舞台に、仕立屋の娘と公爵家の跡取りの恋の行方を描く、少女向けロマンス小説。シリーズ十八冊目。



クリスの母親と闇のドレスに関して調査していたシャーロック。手がかりとして追い詰めたかつての従僕ユベールをクリスがかばったために取り逃がしてしまい、それ以来クリスとは会わずにいた。しかし気がつくとクリスは『薔薇色』からパメラと共に姿を消してしまっていた。気持ちの整理のつかないままにクリスの行方を探し求めるシャーロックだったが。




クリスと自分の関係、クリスと自分の未来、クリスと自分の現在の隔たり、を悶々と悩みつづけながら、一生懸命にクリスの行方を捜すシャーロックがたいそう楽しかった一冊でした。

自分でも人が悪いと思うのですが、いつも冷静に取り澄まして自分は何があっても氷の貴公子さ、みたいな態度でいたシャーロックがなりふり構わず、貴族は成金と蔑む中流階級のひとびとにまで取り入ってる姿を読むと、そのおたおた加減に笑えてしまってw

それだけクリスのことが好きだったのね~とにやにやしつつ、だったら最初から大切にしなさいよ、バカね! というわけです。

これだけ内省的になったのってシャーロック的には人生初なんじゃないかしらん。

ぐるぐるとおなじ所をまわりつつも、いろんなきっかけを与えてもらって(!w)ようやく「クリスの気持ち」「クリスの生活」「クリスの未来」にたどり着いたので、まあよしとする、みたいな感じでした。

かれが一生懸命にクリスが好きなのはパメラちゃんもわかっているのですよね。
パメラちゃんによってシャーロックの魅力が語られた部分は、とても貴重なシーンだと思いました。

シャーロックの友人ビアードのクリス評も、いいなあと思った。「気づくまで、気づかない美人」。なるほど。

あと、シャーロックの従僕アントニーくんがとっても楽しいぞw
かれのすれてない感性とてらいのない感情表現に、シャーロックが不意を突かれて困るシーンが好きです。
これって天然ボケってことかな、実際、かなり仕事的にもぬけているんですが、愛嬌があるんですよね。思いやりもあるし。シャーロックに欠けている部分が具現化したような存在。

結構シビアーな人間観察と心のひだをていねいに描いていく文章とがあいまって、とても惹きつけられる展開になりました。

シャーロックが悩んでいる横で進行する、ビアードとコーネリアの恋愛も目が離せません。どちらかというと、こちらのほうが王道ロマンス物っぽいかなと思う。

前巻でシャーロックとクリスに愛想が尽きかけて、もう読むの止めようかと思ってたのですが、いただいて読んでみてこれは読んでよかった! と思いました。前巻で止めてたら不幸なままだったよ……(汗。

ようやく自分ではない他人であるクリスのことを認識したシャーロック君の今後の活躍に期待してます。

つぎもいただいているのですみやかに読むぞ~。


恋のドレスと聖夜の求婚―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
408601386X

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