『黄金の狩人 1 道化の使命』

黄金の狩人1 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562078


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読了。

世界と心の両方に繊細で深い共感を感じさせてくれる、異世界ファンタジー。「ファーシーアの一族」の続編シリーズ、開幕編。



六公国の存亡の危機がヴェリティ王の犠牲のもとに回避されて十五年。フィッツは忌み嫌われる〈気〉の術者として知れ渡ったみずからの過去を断ち切るために死を偽り、トム・バジャロックを名乗って、人里から離れた小屋で狼ナイトアイズ、孤児の少年ハップとともに静かな日常を送っていた。ときおり訪れる吟遊詩人スターリングのみがバックキープを知るよすがだ。だが、ハップは成長し、徒弟として弟子入りする希望を持ち始めた。旅立つハップを見送ったフィッツのもとに、かつての師であるシェイドが訪れる。




深い描写に心の底まで洗われるような感覚を味わいつつ読みました。
フィッツが〈気〉によって感じる世界の描写がとても繊細で鮮やかで、痛々しくて切なくなってしまった。
豊かな世界を感じる能力である〈気〉を人々が蔑視するようになったのは、その能力が文明化とともに失われてしまう性質のものだからなのかな。

反対に、私にはいまだに〈技〉というものがよくわかりません。
これは他人の思考に、より強固に鋭角的に作用する能力みたい。支配するかされるかの関係を抜きには使えないものなのでしょうか。〈技〉にある中毒性はどこから来ているものなのかも、よくわかりません。いずれにしろ、いびつで不自然な力のように思えます。

そこに今回新たな力の存在があらわれました。
まじない師ジンナのもちいる〈俗〉です。

〈俗〉の性質があきらかになったら〈技〉の意味がわかるようになるかしら、と勝手に期待しております。

それから、このシリーズの通しタイトル「道化の使命」。
どうやら今回は道化がかなり重要な役割で活躍しそうです。前作でも重要ではありましたがあくまで裏で動いていたかれが、前面にでて自分の言葉で自分を語ってくれるのがとても面白かった。

そして前回最大の災厄であった“赤い船団”の背後がわかってきそうな気配に、俄然興味津々です。

フィッツにはとても大切な人々との交流とそれにともなう複雑なしがらみがまとわりついていました。
その絆を断ち切って、断ち切らざるを得なくなってそうしたわけですが、それで一時の平和を得たもののけっきょくフィッツはフィッツのままで、ファーシーアの庶子で〈気〉のもちぬしで、最後の〈技〉の継承者で、〈白の予言者〉の触媒であることに変わりはなかった。

「生よりもやすらかな死」「すべての最終選択である死」を迎えるまではフィッツでありつづけるのだということを示されたフィッツがこれからどういう運命に巻き込まれていくのか。

これだけの人間関係と感情とさまざまな設定がどのように展開されていくのかと、つづきを読むのが楽しみです。

個人的にはナイトアイズがだんだん年老いているのが寂しかった。
どんどん賢く、まるでフィッツの父親みたいになってるのが救いでしょうか。
〈遠吠えをするメス〉呼ばわりが健在だったのが笑えましたw


黄金の狩人2 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562086

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