『封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ 5』

封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈5〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ 也
4094521216


[Amazon]


読了。


軍国化へと傾斜する昭和初期の日本を舞台に、軍部を利用して暗躍する魔人と、陰陽師の一族を率いる少女、彼女の使役する鬼たちの戦いを、人の心の哀しみとともに描く、伝奇アクションシリーズ。「鵺子ドリ鳴イタ」完結編。



昭和五年。真術会の鵺による襲撃を受けた神島家の若き当主・桐子が上京した東京は、人喰い事件が世間を騒がせる不穏な時代を迎えていた。真術会主宰の大山は軍の一部と結託し、人体実験を行っていた。その要は、大山の庇護下にある鵺と乙夜のという碧の目を持つふたりの人物だった。軍部による悪事と、日本を憎むが故に神島を憎む乙夜の悪意に対抗すべく、大山の本拠を襲撃した桐子たちだったが。




あらすじがなんだかわやくちゃ……すみません。

「鵺子ドリ鳴イタ」も完結です。
この話は世界から孤立し軍国化していく昭和初期の日本をからめて、日本で生まれ育った異人の疎外感と孤独による憎悪と復讐と対峙するお話でありました。

すっきりとしたシンプルな文章ながら叙情的、かつリズムのある、強くときに太さを感じさせる、しなやかな文章がいつもながらとても好きです。

そして敵対しつつも抱える孤独に共鳴してしまう、共鳴しつつも相手を滅ぼさずにはおれない、ぬきさしならない状況とそこに至るまでのシビアな展開に痺れました。

さりげなく配された伏線の数々に、おおー、そうであったかと膝を打つラスト。

とても面白かったです。

時代が時代だけに物騒きわまりない不穏な雰囲気が横溢していて、爽快とはいいがたい話ではありますが、そんな時代にもひとびとは日常を生きていたということを感じさせてくれる話でもありました。

ま、登場人物たちはまったく普通とはかけ離れたユニークな人たちばかりでしたけどね(苦笑。
稀代の陰陽師だったり、鬼だったり、産女の子だったりするかれらにも日常があるというのは、救いのような気がします。

あやかしの愛らしさも素敵でした。

ひとり戦闘ではまったく役に立たずでありながら、重要な時に力の抜けるような活躍をしてくれる、ほのぼのまったりな武見くんの存在には癒されました。たぶん桐子にとってのそういう存在として登場して役目をきちんと果たしたうえで、なおかつ読者に愛されるようになるのも、けっこう難しいのではとおもうのですが、かれは本当に見事に大役を果たしてくれてよかった。

おかげで桐子のツンデレっぷりがとてもいじらしくて可愛いのですw

シリーズの今後は未定とあとがきに書かれていましたが、ぜひぜひもっとつづけて欲しいなあと願います。


余談。
図書館で借りたのに特典のドラマCDがついてきてびっくり。
いそいそと聴いてみました。

収録されていたのは本編の後日譚。
聖の「桐子を乙女にしてやろう計画」の顛末でした。
あいかわらずアホだな、聖……w

昭和の初めには新宿はすでに盛り場になっていたのか。
でもたぶんこれは東口の話だよね。三越かあ。


シリーズのつづきは未刊行のようですが、この話の前日譚はこちらです。

封殺鬼―花闇を抱きしもの〈上〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ 也
409452035X


封殺鬼 花闇を抱きしもの〈下〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ 也
4094520414

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)