『鷹姫さま お鳥見女房』

鷹姫さま―お鳥見女房 (新潮文庫)
諸田 玲子
4101194262


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読了。


江戸時代、お江戸の郊外で代々将軍家の御鳥見役としてすごしてきた一家の苦あれば楽もある日常を、妻であり母親であり祖母である四十の女性を中心に季節感ゆたかに描く、時代家族小説シリーズの第三巻。

面白かった!
これまで読んできてこの巻が一番面白かったです。

御家人ではあるけれども薄給でかなりの貧乏暮らしの中、たくさんの居候を抱えての日々が続いていた矢島家でしたが、この巻では源太夫と多津が夫婦となって子どもたちとともに出ていってます。といっても場所は目と鼻の先でしょっちゅう行き来しているようですが。

無事に帰還したあるじの伴之助がまだ任務で負った心の傷に苦しむさまを、そっとみまもる珠世さん。

彼女の見守るのは夫だけではありません。

次女の君江は御徒目付の嫡男隼人と奥ゆかしく恋愛中。
次男の久之助にも新たな出会いが。
そして、長男の久太郎には、降ってわいたような縁談話が。

この久太郎君のはなしがとても楽しかった。
御鳥見役の見習いとしてつとめるうちに鷹に魅せられつつあるかれのまえに現れるのが、タイトルロールの「鷹姫さま」なのです。

どのはなしも、珠世さんの見守るすがたをあらわすように適度に距離を置いて描かれて、ときにもどかしくなることもありますが、必要以上に踏み込まないということは想像する余地がたくさんあるってことでもあるなあと、ちょっと感動したりも。

若者たちの恋愛エピソードも、ラノベなら必須であるような部分が簡単に略されてますが、それらはべつにわざわざ書かれなくとも想像で補える範囲のことだったんだと目から鱗が落ちました。

というわけで、ほんのちょっとほのめかされる端々でしか事実はわからないながら、その名が表すとおりの強烈なツンデレらしい鷹姫さまと久太郎君のこれからがすごく楽しみになっているところです。

いまは珠世さんの見守りモードがとても心地よいです。

若者たちだけでなく、珠世さんのお父上も、珠世さんの従姉のうるさ型おばさん登美さんも、生き生きとしています。

個人的にはしゃぼん玉売りの藤助さんが好きですねえ。
かれの存在感は吟遊詩人や道化のそれに似ていると思うの。

というわけで、とても楽しくなってしまったのですぐさまつづきを予約しました。
はやく届くといいなあ。

狐狸の恋―お鳥見女房 (新潮文庫)
諸田 玲子
4101194289

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