『戦う司書と絶望の魔王』

戦う司書と絶望の魔王 BOOK9 (集英社スーパーダッシュ文庫)
山形 石雄 前嶋 重機
4086304945


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読了。

時間の神々がつかさどる世界を舞台に、死者の記憶である本を守る武装司書たちと神溺教団の戦いを描く、SFファンタジーシリーズ、第九巻。

ものすごくひさしぶりに読んだ「戦う司書」シリーズです。
八巻を読んだあとでシリーズがアニメ化されたために図書館の予約待ち数が跳ねあがり、手を出しかねていたというのが真相です。

おかげでこれまでの出来事を思い出すのに手間取ってしまいましたが、まあそれはいつもの仕様ということで。

たしか前巻では終章の獣が総攻撃を仕掛けてきてたいへんなことになりました、という話だったような気がします。

その大変な状況を受けての九巻は、武装司書と神溺教団の起源以前、世界はいかにして今のようになり、バントーラ図書館長ルルタ=クーザンクーナはいかにして今の地位に就いたか、というあたかも神話のつづきのような過去があきらかになる展開でした。

いや、神話のつづきのよう、じゃなくて本当に神話のつづきですよ、これは!

あいかわらず現実感の薄い、理屈っぽい骨格のみの文章が、この展開にはぴったりときました。

それと、死者が本になるという奇天烈な設定で、司書が戦うというみょうちきりんな話なのに、前提となるルルタの過去はごくまじめに悲劇の英雄譚だったのでちょっとびっくり。

一個人の悲劇が一世界の存亡に直結するスケールの大きさと、神々の非人間的で機械的なまでの超越性が、無機質な雰囲気とみょうに合うなあと思いました。

意外に普通だったルルタの悲劇がなぜこんなへんな世界を作りあげたかというと、人が死んだら本になる、という設定が大きいんだなあ。
この大前提はゆるぎなく初めから存在していて、そこには疑問の余地すら感じられない。
ほかの部分は思考実験ふうでSFっぽいのに、この部分だけ理屈がないのでSFと言い切れない気がする、ほんとうに妙な設定だよなあ。

それでルルタのおかげでヘンになった世界を打破するためにいろいろと試行錯誤がくりかえされ、そのはてについに、とうとう、ふたたび終末が目の前まで迫っているというところに、つまりこの本の冒頭まで時間が進んだところでこの巻はおわりです。

途中から登場するハミュッツ=メセタの生い立ちが酷いですねw
彼女のあのひどく歪んだ性格はこうして形成されたんだなーと、たいへんに納得いたしました。
このようにさりげなく非人道的なことを書いてしまう部分も、なんとなくSFっぽい気がするんですが、それは私のSFに対する偏見でしょうか(汗。

うーむ。
なんといっていいのかよくわからないけれど、私が面白がっていることはたしかな本であります。


つづきはとうとう完結編。すみやかに読みたいけど、どうだろう。

戦う司書と世界の力 BOOK10 (集英社スーパーダッシュ文庫)
山形 石雄 前嶋 重機
4086305275


こちらは開幕編。

戦う司書と恋する爆弾 BOOK1(集英社スーパーダッシュ文庫)
山形 石雄 前嶋 重機
4086302578

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