『駅神』

駅神 (ハヤカワ文庫 JA ス 2-2)
図子 慧 こさ ささこ
4150309345


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読了。

東京の下町を舞台に謎の老人のたてる易をもとめる人々の日常的な事件をえがく、人情ミステリの連作短篇集。


気まぐれにあらわれ駅のホームで易をたてる老人、通称“ヨンバンセン”。ある事故を予告したことで助言を求めるものが絶えないのだが、なかなか遭遇できない謎の老人だ。大学生の相沢章平は噂は知っていたが占いを信じる性格ではなく、それほど興味は持っていなかった。かれの身に突然災難がふってかかるまでは。幸運にも老人に出会うことがかなったがその助言を理解できず、もっとくわしく聞きたいと老人を探し続けていた章平に、見知らぬ女が声をかけてきた。易学学院の理事長だという女は章平が老人にもらった卦を見せてもらいたいという。




ものすごく久しぶりに読んだ図子慧は、なんと日常ミステリユーモア風味でした。

駅で易をたてる謎の老人と、老人の出した卦を解釈する易学学院のひとびと、というのがユニークです。

易のことはまったく知らない、したがってここに書かれている専門的なこともほとんど理解できないわたしが読んでもちゃんと面白いお話でした。
易を知っていればもっと楽しめるんでしょうが、それ抜きでも事件自体は成り立っているからでしょうね。
事件の中身を他者が知る手段として易が使われていて、さらにその事件を解決する糸口を与えてくれるのも易なんですね。

事件はかなり物騒な話も含まれますが、それほど深刻にならないのは出来事との間に易による適度な距離感があるからと思われます。

他人事だからといって不謹慎な雰囲気もなく、きちんと自分と他人との線引きができている、大人な関係の話だなあと、狂言回しの章平君はべつとして、そう感じました。

そしてすべて現実の話かと思えば第三話の「八卦仙」のようなファンタジーがあったり、幽霊のことを占ったりと、そこはかとなく現実ではない話もあって、楽しかったです。

そして、図子慧なのにエロくない!
こんなにエロくない図子慧は、わたし初めてですw
これは身体性ある描写がすくないからかな。たぶんこの話には必要ないと思われたのだと思います。

そして登場人物における老人率の高さも特筆すべきかと。
章平君のすんでるアパートの雰囲気が、大家のミヤコさんはじめ、高齢化の現実を如実に反映してるのに明るく楽しげなのがいいなあと思います。
そして、先達たちにたいする章平君とその友人たちの態度も、日常的な気安さに満ちていて素敵でした。

易学学院の面々も個性的。
ほんのちょっとしか出番がないのにそれぞれ明確な印象が残るのがすごいな。
とくに大滝カスミさんの存在感はハンパないですw

とても楽しかったのでつづきも借りようと思います。


駅神ふたたび
図子 慧 こさ ささこ
4152089660

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