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『王のしるし 上』

王のしるし(上) (岩波少年文庫)
ローズマリ・サトクリフ 猪熊 葉子
4001145952


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読了。

およそ二年年前のスコットランドを舞台に、ローマの奴隷剣闘士だった男が氏族の王の身代わりとなっていく様を臨場感ゆたかに描く、歴史小説の上巻。



ローマ帝国支配下のブリテン島。氏族の母親を持つフィドルスは、北の辺境にあるローマの闘技場で奴隷剣闘士として命をかける日々を送っていた。あるとき、ローマ軍団の新任の総督が就任祝いに四組の剣闘士を死ぬまで戦わせる代金を支払った。その戦いに勝ち抜けば、奴隷身分からの解放を意味する木剣を授けられるのだ。その四組の中に選ばれたフィドルスは、親友ボーティマックスとの死闘の果てに生きのびた。晴れて自由の身となったフィドルスだったが、一時の開放感の後に訪れたのは目的のない心許なさだった。途方に暮れたこころをもてあましたフィドルスは酒場での乱闘に巻き込まれる。




少年文庫に入ったので早速購入。再読しました。
再読といってもわたしのことなのでほとんど初めてとかわらないような案配でしたが、いやしかし、わりと初めの頃に読んだサトクリフの作品の中でこの作品が一番好きだと思った感触に、間違いはありませんでした。

主人公はスコットランドの氏族の血をひく奴隷の母親とローマの商人の父親をもつフィドルス。
子供の頃に父親が死んだ後、べつのあるじに売られ、そこからふたたび売られて、いまに至るまで剣闘士として暮らしてきたという経歴を持つ若い男です。

かれは容姿の描写からしてかなり男前だとわかります。際だつ存在感をそなえていることも。
そのことはかれの運命を左右する大きな要素であるのですが、ただ読んでいるこちら側からするとそれだけでちょっとときめきませんか?(笑。

物語の背景には、北進するローマと敵対するスコットランドの内部事情があります。カレドニア族とダルリアッド族の反目です。

このふたつの部族の歴史は、初読の時にはほとんど意味不明だったのですが、読み直して「おお、そうだったのか!」と眼から鱗が落ちました。


読んでいて、印象に残るのは、とくにスコットランドの海岸の風景や遺跡の情景、そして馬たちにそそがれる愛情です。

サトクリフはとても馬が好きなんだと思います。他の作品でもたくさん出てきます。この話でへえと思ったのは、アラブの雌馬には輸出規制がかけられていたってところでした。

「馬というものは、その強さは父親から受けつぐが、その勇気を母方から受ける」ということわざ(?)も印象的でした。

その場に立って同じ空気を吸い、同じ空を見ているような臨場感のある文章で、力強く厳しく愛情を持って描き出される、元剣闘士とスコットランドの氏族の対立が生み出してゆくドラマにつよく引き込まれます。

やっぱりサトクリフはいいです。
大好きな作家です。

さ、これで下巻が読める。
結末はおぼろにおぼえているけれど、そこに至るまでのフィドルスの運命をかれとともにもう一度体験しようと思います。


王のしるし(下) (岩波少年文庫)
ローズマリ・サトクリフ 猪熊 葉子
4001145960

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