『扉守 潮ノ道の旅人』

扉守(とびらもり)
光原 百合
4163287302


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読了。

瀬戸内海沿岸の小さな集落を舞台にした、日常と非日常のあわいと訪れるマレビトたちの交錯する現代ファンタジー。連作短篇集。

すべてことなる少女の視点で、たおやかな文章でやさしく描かれる物語群。
日常におとずれる不思議な出来事と、かろやかにでもひそやかに小さな町を行き来する不思議な人々との出会いが、ちょっとすてきです。

収録作品は以下の通り。


帰去来の井戸
天の音、地の声
扉守
桜絵師
写想家
旅の編み人
ピアニシモより小さな祈り

あとがき



わたしが好きなのは断然「帰去来の井戸」です。
静かで穏やかで哀感に満ちて陰影の深い雰囲気がポイント。

それと、力に満ちた場である潮の道という土地のかがやきがもっとも現れた作品だからかな。

この最初の一編でわたしのこころはぐいと鷲づかみにされました。

とはいうものの、他の話は面白くはあったけどそれほどぐっとこなかったので、ちと残念。
この方のやさしく穏やかな作風は好みなんですが、ウエットな部分がやや苦手なのです。
だから対象と距離があるほうが、読みやすいんですよね。

それと、サブタイトルから推して知るべしだったのですが、旅人が出てくる。そして事件が起きる。
しかし、わたしはこの本では旅人よりも町の不思議の方を読みたかったのですな、おそらく。

読む前に勝手に妄想をふくらますなという教訓を得ました。

本そのものは楽しみました。
瀬戸内のおだやかな風土の描写が美しかったです。


銀の犬 (ハルキ文庫)
光原 百合
4758433410

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