『王のしるし 下』

王のしるし(下) (岩波少年文庫)
ローズマリ・サトクリフ 猪熊 葉子
4001145960


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読了。

ローマがブリテンを支配していた時代のスコットランドを舞台にした、剣闘士あがりの男のドラマティックな生涯を描く歴史小説。

読み終えてからずいぶん時間が経ってしまいました。すみません。

スコットランドの氏族間闘争のなかで、王として即位した身代わりの若者・フィドルスが、偽りだった役柄に感化され、同化し、生まれそなえた能力を花ひらかせていくさまと、王であるということについての意味にたどりついたかれのとる行動が、かざりのない骨太な文章でかたられていくありさまがずしんと心に響く作品でした。

初読の時は敵の女王の娘とのロマンスばかりに目が行っていたけど(笑)、今回はフィドルス自身の変化とかれを受け入れた氏族の者たちとの絆の深まりが深く印象に残りました。

フィドルスに役割を託したマーダーや、馬商人のシノック、マーダーの親友だったコノリー、だれもがそれぞれに血肉をそなえた存在として描かれています。

熱い、男たちのお話です。

のちに書かれたアーサー王を題材にしたサトクリフの作品の萌芽がここにあるようです。

スコットランドの大地で冷たい風に吹かれ、流れる水にぬれながらの戦いの情景が、脳裏にまざまざと浮かぶ描写がすばらしかった。

写真集『巨石』などを眺めながら読むとまた臨場感が湧いてきていいかもしれないなあと、思いました。

たぶんあの本の写真の数々を見たから、よけいにあの光景が浮かんでくるのだと思います。

よいお話でした。
再読してよかったです。

王のしるし(上) (岩波少年文庫)
ローズマリ・サトクリフ 猪熊 葉子
4001145952


巨石―イギリス・アイルランドの古代を歩く
山田 英春
4152087404

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