『うそうそ』

うそうそ (新潮文庫 は 37-5)
畠中 恵
4101461252


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借りて読了。

江戸時代を舞台にした人情あやかし時代小説、シリーズ第五弾。

あやかしの祖母を持つ身体の弱ーい若だんなが奮闘する、ほのぼの人情小説、いままでは連作短編でしたが第五弾は長編です。若だんな初めての旅路物語。

湯治に行ったら元気になれるのではと思いついた若だんな一行が目指すのは箱根。
小田原までは薬種問屋である実家の舟を利用しての、ごくごく楽ちんな旅路だった……はずなのに、二人の兄やがいつのまにか行方不明、異母兄・松之助とたどりついた小田原では盗難に遭いそうになったりと、のっけから不穏な雲行き。

宿までの道中を頼んだうさんくさい駕籠かきの雲助たちとの出会いが、さらに若だんなを波乱に導きます。

はじめのうちはなかなかテンポが上がらず、兄やがいなくなったあとは若だんなと一緒に迷子になっちゃった心地でしたが、天狗が登場し、あらたな登場人物たちの背景が見えてくるにつれ調子を取り戻しました。

それと、今回、わたしとしては珍しく舞台の土地鑑がうっすらとあったので(苦笑)、ああ、今はあそこにいるのねなるほどふむふむと面白がれました。

お比女ちゃんの辛い過去話などはわりとありきたりかなと思いましたが、彼女とその父上のすれちがう神心? がとんでもない大規模事件に発展するところはすごかった。

そして相変わらず鳴家たちがかわいいです。

話のもう一つのポイントだった御武家さんがらみの事件には呆れましたが、こういうなににつけても自分の都合のいいように認識してひとに災難を押しつける人っているんですよね、哀しいけれど。

そうでなくてもひとはみな、どうしようもなく不器用なもの。まわりのことがきちんと見えて考えられる人ほど、自分のふがいなさに歯噛みすることが多いのだなと、若だんなをみていると思います。

病弱属性は改善しそうにないけれど、心根の優しさとかしこさ、共感力が若だんなの美徳。みなが若だんなを支えたいと思うのは若だんながそういうひとだからなのですよね。

長編としてはすこしものたりなかったけれどほのぼのとした読後感がよかったです。


このつづきはこちら。
ちんぷんかん (新潮文庫)
畠中 恵
4101461260



シリーズ開幕編はこちら。
しゃばけ (新潮文庫)
畠中 恵
410146121X

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