『カラクリ荘の異人たち2 ~お月さんいくつ、十三ななつ~』

カラクリ荘の異人たち 2 ~お月さんいくつ、十三ななつ~ (GA文庫)
霜島 ケイ ミギー
479734914X


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読了。

現実と異界が重なりあう町を舞台に、傷ついた孤独な少年が周囲との関係を取り戻していくさまを、ユーモアを交えてほのぼのと描く、ハートフル伝奇小説。シリーズ第二作。


高校生の太一は、あやかしの見える体質だ。現実と異界の重なりあう賽河原町で父親の知り合いの営む空栗荘の住人となった太一は、個性的な住人達ともなじむようになり、穏やかな日々を過ごしつつあった。十五夜の近いある日、裏の賽河原町の空が夕焼けに染まったままになってしまった。この現象は、空栗荘の大家で境界の番人を務める時国柊二郎が眠ったままであることが原因であるという。彼岸も間近になった賽河原町には薄売りが出没するようになっていた。そんなある日、太一のクラスメート采奈が、行方不明になった弟を捜して欲しいと大家を訪ねてきた。




「封殺鬼」ではハードなアクションものを書いている作者さんの、日常ほのぼの切ない系伝奇小説。というか怪奇譚?

母親との関係で心に傷を負った少年が、しだいに癒されて成長していく過程を、ふたつの事件とともに描いてます。

ひとつめは、クラスメートの弟誘拐事件。
ふたつめは、彼岸花の足跡を残す不審な男の事件。

どちらも空栗荘オーナーの時国柊二郎氏睡眠継続中という、ちょっとした異常事態のなかで展開するお話です。柊二郎氏が寝ているとなぜ賽河原町が夕焼け空になるのか。そんな謎がこの本の大枠でした。

事件がふたつにわかれているためか一息にがっと読む感じではないのですが、あやかしと人間が共存していたり、異界と現実が交錯したり、不思議なできごとが日常だったりと、いい感じに力が抜けているのがこのシリーズの美点だと思います。

わたしにも空栗荘の住人の特徴がだんだんわかるようになってきて、なんとなくミヨシと十遠見って鬼二人を混ぜて別要素で分けてみたみたいで楽しいなーとか、十遠見のチーズケーキを食べてみたいとか(幾らなんだろう;)、本筋にはあまり関係のないディテールでもいろいろとおもしろがれて嬉しかったです。

そんなふうにくすくす笑いながら読んでいたのに、ラストは切なくて。

赤く染まった夕焼け空のような、寂しくて哀しいけど穏やかな余韻が残りました。

すごい、ではないけど、いいなあ、と感じるお話だった。

つづきもいつか読みたいです。

カラクリ荘の異人たち 3 ~帰り花と忘れ音の時~ (GA文庫)
霜島 ケイ ミギー
4797354127


シリーズ開幕編はこちら。
カラクリ荘の異人たち~もしくは賽河原町奇談~ (GA文庫 し 3-1)
霜島 ケイ ミギー
4797342986

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