『さよならピアノソナタ encore pieces』
さよならピアノソナタ―encore pieces (電撃文庫)
杉井 光 植田 亮

[Amazon]
読了。
硬質で繊細な文章で音楽の響く世界を描いた、青春音楽小説シリーズの番外中短篇集。
収録作品は以下の通りです。
本編より八年くらい後、真冬の父親の依頼で伝説の指揮者・作曲家の謎の楽譜を調査することになった二十四歳のナオが、真冬との関係にけじめをつけることを考える「"Sonata pour deux"」。
女子大生ふたりのロックバンド・フェケテリコのサポートベーシストとして採用された女の子が、フェケテリコの過去と現在の空白に悩む「翼に名前がないなら」。
右手を痛めてアメリカでリハビリに励む真冬と、日本でたたかっているナオ。思い合うふたりの間を往復するヴァイオリニスト、ユーリ。天才ともてはやされる若き音楽家の、隠された苦悩の物語「ステレオフォニックの恋」。
恋する革命家で現在はロックバンド・フェケテリコでカリスマ的な人気を博す神楽坂響子が、愛用ギター黒いレスポールにまつわる過去の思い出を語る「最後のインタビュー」。
ナオの父親哲朗が、息子の結婚報告を受けての述懐「だれも寝てはならぬ」。
どれも興味深く、楽しく、鳴り響く音楽にひたってしまうお話でした。
この本、本編よりも好きです。
もちろん、本編を読んでいるからこそたのしめる本ではあるのですが、本編でストーリーものとしてまとめるために切り捨てられただろうさまざまな部分をすくいとって、十二分に昇華したような感じ。
ナオと真冬の話はミステリ風味のエピソードに絡めつつもふくよかな情感があって、特に読み応えがありました。
サポートベーシスト橘花ちゃんと、千晶のエピソードはとても青春でとてもバンドでした。
ユーリの話は、そういうこともあるのか点点点。
神楽坂先輩の過去は、予想していたほどハードではなかったけど、かなりシリアスで青春で人情話でした。
そしてわたしは最後に配された哲朗の話が一番好きです。
こんな父親に育てられて、ナオ君はどうしてなんでも出来る子になったんだろう。
料理は誰に習ったんだろう。
そんな謎は謎のままでしたが、哲朗と真冬のお父さんの会話がいつも楽しい。ふふふ。
これからナオ君はどんなふうに成長していくんだろう。
はっきりと書かれない現在、未来が想像力を刺激してくれます。
面白かったー。
シリーズはこれで終わりですが、とてもよい終わりだったと思います。
シリーズ開幕編はこちら。
さよならピアノソナタ (電撃文庫)
杉井 光 植田 亮

杉井 光 植田 亮

[Amazon]
読了。
硬質で繊細な文章で音楽の響く世界を描いた、青春音楽小説シリーズの番外中短篇集。
収録作品は以下の通りです。
"Sonata pour deux"
翼に名前がないなら
ステレオフォニックの恋
最後のインタビュー
だれも寝てはならぬ
あとがき
本編より八年くらい後、真冬の父親の依頼で伝説の指揮者・作曲家の謎の楽譜を調査することになった二十四歳のナオが、真冬との関係にけじめをつけることを考える「"Sonata pour deux"」。
女子大生ふたりのロックバンド・フェケテリコのサポートベーシストとして採用された女の子が、フェケテリコの過去と現在の空白に悩む「翼に名前がないなら」。
右手を痛めてアメリカでリハビリに励む真冬と、日本でたたかっているナオ。思い合うふたりの間を往復するヴァイオリニスト、ユーリ。天才ともてはやされる若き音楽家の、隠された苦悩の物語「ステレオフォニックの恋」。
恋する革命家で現在はロックバンド・フェケテリコでカリスマ的な人気を博す神楽坂響子が、愛用ギター黒いレスポールにまつわる過去の思い出を語る「最後のインタビュー」。
ナオの父親哲朗が、息子の結婚報告を受けての述懐「だれも寝てはならぬ」。
どれも興味深く、楽しく、鳴り響く音楽にひたってしまうお話でした。
この本、本編よりも好きです。
もちろん、本編を読んでいるからこそたのしめる本ではあるのですが、本編でストーリーものとしてまとめるために切り捨てられただろうさまざまな部分をすくいとって、十二分に昇華したような感じ。
ナオと真冬の話はミステリ風味のエピソードに絡めつつもふくよかな情感があって、特に読み応えがありました。
サポートベーシスト橘花ちゃんと、千晶のエピソードはとても青春でとてもバンドでした。
ユーリの話は、そういうこともあるのか点点点。
神楽坂先輩の過去は、予想していたほどハードではなかったけど、かなりシリアスで青春で人情話でした。
そしてわたしは最後に配された哲朗の話が一番好きです。
こんな父親に育てられて、ナオ君はどうしてなんでも出来る子になったんだろう。
料理は誰に習ったんだろう。
そんな謎は謎のままでしたが、哲朗と真冬のお父さんの会話がいつも楽しい。ふふふ。
これからナオ君はどんなふうに成長していくんだろう。
はっきりと書かれない現在、未来が想像力を刺激してくれます。
面白かったー。
シリーズはこれで終わりですが、とてもよい終わりだったと思います。
シリーズ開幕編はこちら。
さよならピアノソナタ (電撃文庫)
杉井 光 植田 亮

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わーい
Re: わーい
こんにちはー。
とっても楽しませてもらいました。
構成がきっちりかっちりしているところは男子向けぽいですが、筆力があるぶんキャラ小説としてだけでない楽しみのたくさんある作品だと思います。
なにより音楽がとっても効いていますよね。
> 哲朗さん好きなら、最後の最後のこの話は楽しんで頂けると思ってました(笑)。
はい、哲朗くんは楽しかったです。
最後まで美沙子さんが登場されなかったのが残念でしたw
とっても楽しませてもらいました。
構成がきっちりかっちりしているところは男子向けぽいですが、筆力があるぶんキャラ小説としてだけでない楽しみのたくさんある作品だと思います。
なにより音楽がとっても効いていますよね。
> 哲朗さん好きなら、最後の最後のこの話は楽しんで頂けると思ってました(笑)。
はい、哲朗くんは楽しかったです。
最後まで美沙子さんが登場されなかったのが残念でしたw
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この作品、男子向けのようなパッケージですが、女子にも、そして一般向け小説を読まれる方にも面白い作品だと思うんですよね~。
哲朗さん好きなら、最後の最後のこの話は楽しんで頂けると思ってました(笑)。