『鳥辺野にて』

鳥辺野にて (光文社文庫)
加門 七海
4334744885


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読了。


江戸時代から大正期くらいまでを舞台にした伝奇ホラー短篇集。

収録作品は以下の通り。


左 掌編一
鳥辺野にて
赤い木馬
おとむらい 掌編二
左右衛門の夜
墨円
菊屋橋
阿房宮 掌編三
あづさ弓
朱の盃
鉢の木
抱擁する山 掌編四

解説 神崎宣武




ものすごく久しぶりに加門七海を読みました。
そしたら抱いていた印象がちょっと変わった。

意外に骨太な文章だったのと、意外に力んだ語り物っぽい感じだったのと。

これまでは幻想的な作風だと思っていたんだけど、けっこう理屈っぽかったのでびっくりしました。

時代小説にしては文章が硬くて、それは漢字熟語が多いからかなー。
その熟語が、仏教用語や道教用語なのが、難解で理屈な印象を受ける模様です。

読み手に相当な教養を要求してくる話が多かったです。つまり、わたしはそれに応えられなかったわけですが。

タイトルを見てなぜか勝手に平安朝の話と思っていたので、それも想定外でした。

作品そのものは、これぞ正統派の日本の伝奇小説というたたずまい。
喚起されるイメージの荒々しさ、暴力的なまでの力強さに悲鳴をあげそうになったものもありました。

なかでは「菊屋橋」がいちばん江戸町民ものっぽくてとっつきやすかったです。ぜんぜんハッピーじゃないけどね。

どの作品にも人間の業やら怨念やらが渦を巻いていて、生と死が地続きで、ぞっとするような情景がうかびあがるのが怖かったです。

上質なホラー短篇集でした。

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