『ずっと、スタンド・バイ・ミー フルメタル・パニック!』上下

フルメタル・パニック!11 ずっと、スタンド・バイ・ミー(上) (富士見ファンタジア文庫)
賀東 招二 四季 童子
4829134100


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読了。

ボーイ・ミーツ・ガールなSFミリタリーアクションシリーズの完結編。


ソ連の超能力実験の事故により生み出されたウィスパードによる、ブラックテクノロジーの導入で変革されてしまった世界。レナード率いるアマルガムは覚醒したかなめを中心として活動を活性化させていた。アマルガムの作戦の中心を叩きつぶすため、テッサ率いるミスリル残党はかつての本拠地メリダ島を目指すが、アフガニスタン北東部の核ミサイル基地がレナードの部隊に襲撃されたという知らせが入る。核戦争への秒読みが始まる中、ウィスパードの関わるメリダ島の作戦を皆に納得させられないと悟ったテッサは、戦力をふたつに分けることを決意する。メリダ島へは自分ひとりで操艦する潜水艦トゥアハー・デ・ダナンと宗介の操るASレーバテインのみで赴くというのだ。疲労と焦りの中でも全力を尽くすと決めたミスリルの残党たちは、それぞれの任務に正面からむかっていく。レナードの目指すのはあるべき世界、テッサの守るのは今ある世界。双子の兄妹の率いるふたつの陣営、最後の戦いの幕は切って落とされた。




ながらくつづいてきたミリタリーアクションシリーズも、ついに完結。

ラブコメアクションだった開始当初から大きなSF的設定が面に出てきた後半まで、トンデモ設定を支える細やかでリアルな軍事的なディテールと、スピード感あふれるアクションシーン、登場人物の肉付けと、人情味あふれるやりとりが好ましい、質実剛健な中にさわやかな風が吹くようなシリーズでした。

登場人物はあくまでもラノベのそれなのですけれど、ここまでくっきりと輪郭のある独自の存在感をそなえたラノベのキャラはそうそういないと思います。
いきいきと活躍するかれらの姿はとってもかっこいい。

それと、構成がすばらしいです。
長編最終巻となったこの話も、大きな流れの中にこまかな伏線がいろいろとしこまれていて、それがのちにいちいちぐっと効いてきて、もう、興奮興奮、大興奮なのでした。

そして、いつのまにか作品のメインテーマになっていた、人生のやり直し。
この問いの答えは、たぶん宗介の存在なんだなと思いました。
かれが自分の生きてきたこれまでの時間を無駄にしていないこと、つねに全力を尽くしてきたこと。それがこの話の大きなテーマだったんだなーと。

冒頭で陣代高校の現在が描かれてましたが、それが宗介とかなめが学校を離れて一年後だというのにびっくりしてしまいました。ついこのあいだのことのようだったのに、もう一年。そのなかでふたりがクラスメートたちに忘れられていないということが、とても救いになりました。ああ、もうこれ以上書くとまずいからやめておきますが、このシリーズはコメディー短編も含めて味わうシリーズだったなあとしみじみ感じました。

すごく、面白かった!
娯楽作品でここまで感動したのは久しぶりです。

とくにアルの存在には燃えた!

欲をいえば、テッサとレナードの双子の話などはもうすこし突っ込んで書いて欲しかったです。

予想外だったのは強面ベン・クルーゾーの最後の荷物(苦笑)。しかもかれの戦闘シーンでソレを匂わすものが一切出てこない!w

あと虎だ、虎。
これは最終巻を読む前におさらいをしておかなかったら、まったく意味不明だったと思います。
なんて細かいところまでフォローしてあるんだーと、ちょっと呆れの入る感嘆符でした。

そう、おさらいをしたんですよ。
七月下旬から『つづくオン・マイ・オウン』からの長編と短編を読み返してたんです。
それだけわたしにとって大きな存在感のあるシリーズだったのです。身内の手術待ちという特殊な時間があったからでもありますが。

おさらいをしておいてよかったーと思いました。

と、同時に、あれ、あの謎は? というのも残ってるんですが、あれは外伝のなかの謎だったので、あとで補完してもらえるのではないかと勝手に期待しています。

未読の方で興味の湧いた方には、ぜひぜひとおすすめしておきます。
できれば短篇集も含めた刊行順に読むのがベストだとおもいますが、新装版になってから長編と短編のリストがべつべつになってしまったんですよね……。

フルメタル・パニック!12 ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)
賀東 招二 四季 童子
4829135530


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シリーズ開幕編はこちら。

戦うボーイ・ミーツ・ガール―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)
賀東 招二 四季 童子
4829128399

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