『嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人 前編』

嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人(前編) 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
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いただいて読了。

平安朝の京の都を舞台に、乳姉妹のあるじの身代わりに姫君を演じることになった女の子の、冒険と恋を描く、ロマンティックミステリシリーズ。第四巻。


行方不明の大姫を見かけたという有子姫の言葉をもとに、後宮から急きょ里下がりをした馨子と宮子、有子姫に真幸の四人は市へと向かった。混雑する市で慣れない宮子姫と馨子を休みどころに残し、主な探索は宮子と真幸が受け持っていたのだが、なんとか情報を得ようとした有子姫がたちの悪い男たちに絡まれてしまう。窮地に陥った四人を救ってくれたのは、以前の事件で顔を合わせた女盗賊・竜田だった。




「白雪姫と七人の小人」?
なんて阿呆なことを連想しながら読み始めた巻ですが、初の二分冊とあって話が大きくなってます。
後宮恋愛ミステリじゃなくて、盗賊の跡目争いに端を発した連続殺人ミステリになってますよ。
しかも、失われた鏡を探し出すという冒険サスペンスつき。

なぜに宮子たちが巻き込まれることになったのかは読んでくださればわかります。
導入部が多少強引かなと思いましたが(しろうと女三人に警護がひとりのお忍びってどうよ)、盗賊たちの巣窟に迷い込んでからの展開が速くって、うわうわうわ、と猛スピードで進むストーリーに翻弄されてしまいました。

面白かったです。

今回、舞台が一時的に後宮を出たうえ、庶民の行き交う市など出てきていろいろと面白かったです。
馨子と有子姫が聞き込みをする女房斡旋所とか、ほんとうにあったのかなとおもうのですが、あってもおかしくはないなと。この時代、女房と遊女に境目はない模様なので、斡旋された職場で頭角を現して、貴人の目にとまってときめいてしまう女がいたかもしれませんよね。うん。

それと盗賊たちに刀を渡しに来た源家の若侍。
ふらふらと視界をよぎる男だなあと思ったら、とんでもないヤツでしたw
本名が明らかになった時はびっくりしたあ。
これがあの鬼退治の……むにゃむにゃ。

武士が盗賊とつながっているという設定も、このところ読んでいた歴史関係の本を思い出させます。
盗賊といったら非人。
春秋党の親分の愛人だったという自称巫女の愛姫の出自も非人。

こんなあれこれがさらりと書かれているあたり、この作者さん、ただの後宮恋愛ものを書きたいわけじゃないんだな。社会の描き方が奥深い。生活感があふれているし、キャラクターの描き方も距離を置きつつ愛情が感じられて、人生経験を感じます。とくに幼い子への視線があったかい。

と、細部に感心しつつ、物語の行方にも興味津々です。
果たして宮子は後宮での探索を成功させることができるのか。
ひきつづき、後編を読みたいと思います。

あ、白雪姫も七人の小人もまったく関係ありませんでしたので、念のため。


嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人(後編) 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
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