『嘘つきは姫君のはじまり 寵愛の終焉』

平安ロマンティック・ミステリー 嘘つきは姫君のはじまり 寵愛の終焉 (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086014378


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いただいて読了。

平安朝の京の都を舞台に、身代わり姫となった女の子が巻き込まれる事件と恋の物語。シリーズ八冊目。


東宮妃に絡んだ兄弟内の争いが飛んだ事件に発展した後、藤壺の中宮が倒れた。さいわい命に別状はなかったものの、からだをいたわるために中宮は一時里下がりすることになった。身代わり姫の宮子は別れの理由を問い詰める東宮から逃れるために中宮と行動をともにしようとする。




今回、新たなミステリはありませんでした。
その分、身分詐称の秘密と東宮への想いに苦悩する宮子の姿が丁寧に描かれてました。
とくに次郎君とのツーショットシーンは完全に拷問。次郎君の攻勢が強すぎて宮子は青息吐息です。この辺りを読むと、作者さんは結構色っぽいシーンがお好きなのねと思わせられます。前巻ほどではないにしろ、かなりきわどいです。ドキドキハラハラです。ラブがお好きな方はたまらないでしょうな……!

骨抜きにされそうなところで懸命に踏みとどまる宮子の意志の力が凄いです。でも疲れるだろうなあ。
そんな宮子をあかるく後押ししてくれる馨子さまが素敵ですv

この話、宮子の恋の苦悩がメインストーリーなんですが、ヒロインが視野狭窄に陥らないところがいいなと思います。他の帝の妃たちや姫君たち、東宮の兄妹たちだけでなく、もり立ててくれる女房たちへの気配りをも描いているところ、いままで読んだ後宮ラブものにはなかった現実的な感覚が新鮮。

そして身代わり姫になった後にのこされた幼なじみの真幸君が、宮子を黙って待ってるだけじゃなく自分の道を歩いているところもいいな。

かれは源氏の末席につらなるもののようですが、かれとついこの間出てきた源氏の若君文殊丸がこれからの展開の鍵なのかしら……?

馨子姫の兄上・兼通と文殊丸の対面シーンが興味深かったです。
今をときめく九条家の当主が、裏の道にまったく通じていないというのはちょっとあれでしたが、そういえば藤原氏よりも皇統のながれのほうがそちらにはつてがあるのかもですね。だから源氏や平氏は武士になったのかとひとりで勝手に納得しました。

あとがきの「史実と物語の流れ」というのに、えっ、これって史実を踏まえた話なんだといまさら気がつきました。そうか、藤原家の家系図とかみると時代がわかるのね。ということはこれは時代ミステリではなくて歴史ミステリなの? 興味はありますが調べはしないだろうな、多分。結末がわかったら面白くないし。

そういえば、途中で蛍の宮の副臥としていきなり名前の挙がる五節の君ですが、どうやら同時収録の短編「甘姫さまがやってきた!」が最初の登場のようです。混乱しないためにはそちらを先に読むべきかもしれません。
この短編でも馨子さまの豪快なお人柄がしのばれます。はははw
そしてふたりの老尼君さまがおつよくてすばらしい。カッコイイおばあさん大好きです。

さらに、東宮の弟君は七の宮。三歳児のあどけなさは最強でしたv

さて、これで既刊はすべて読み終えました。
たいそうなサブタイトルに何事かと思ったけど、ちゃんとつづくようです。
つづきは一体どうなるのでしょうね。
わたしは有子姫の今後に注目しています。多分メインとは大きくかけ離れた関心事(苦笑。


シリーズ開幕編はこちら。
嘘つきは姫君のはじまり ひみつの乳姉妹 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086011662

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