『女魔法使いと白鳥のひな』

女魔法使いと白鳥のひな (創元推理文庫)
パトリシア・A・マキリップ 大友 香奈子
448852012X


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読了。

幻想の紡ぎ手マキリップの、異界とうつつと伝説と今を縦横に行き来する、象徴に満ちた夢のような物語。


トウモロコシ畑で出会った〈乗り手〉と曾祖母との血を受けついだ若者コールは、黒髪ばかりの〈道の民〉でひとり月色の髪をして昔語りばかりをする、いつも異質な存在だった。あるとき、つねとは異なる目的地〈デルタ〉をめざして旅立つことになった〈道の民〉はいつのまにか沼地の中で彷徨いつづけていた。まるで夢の中の迷路のような道行きにだれも疑問を持たない。皆の見えないものが見えるコールは、恋いこがれていたティラナと心を通わせながらもひとり焦燥し、脱出するための扉を探した。そしてかれは突然落ちてきた家の扉をくぐった。黒い小さな家には昔語りにあるとおり、〈ハンター領〉の〈象徴〉太陽の黄金の戦士を閉じこめた七つの星があった。




昔語りの星座の象徴する力の存在と、現実の権力図がかさなりあい、からみあい、干渉し合うなか、力ある存在にひとつの駒として否応なしに引き入れられた若者の混乱と、興味本位でかれに助力することになった女魔法使い、さらに彼女の親戚筋を巻き込んでの大きな陰謀の物語です。

第一部はコール視点の話。
第二部は世界を支配するロウ王国王家の親戚筋であるメグウェット視点の話。
第三部でふたつのながれがひとつとなり、昔語りの中に忘れられていた存在の姿が浮かびあがります。

まずもって謎ばかりで始まる物語です。
コールの曾祖父は何者なのか。
コールしか見えないものはなんなのか。
コールだけべつの場所に行ってしまうのはなぜなのか。
なぜ〈道の民〉は迷っていることを自覚しないのか。
鋳掛け屋はコールを使ってなにを目論んでいるのか。

とにかく、第一部はわからないことだらけで読み進むのに大変苦労しました。
第二部でようやく視界がひらけてきて、メグウェットと王家の関係で話の全体像がわかるようになり、門番さんとのからみなど別の楽しみもできて、ようやく落ち着いて読めるようになった。

そして第三部は怒濤の展開です。めくるめく幻想の中でつづれおりのように紡がれていく、ささやかなように書かれているけれど実はスケールの大きな物語!

あちこちにちりばめられた隠喩暗喩、さまざまなモチーフに胸がドキドキしました。

最後はまるくおさまってくれてよかったー。

あ、これって二部作の第一部でした。
ということはまだこれでめでたしというわけにはならないのか。うーむ。

と唸るのには理由があります。

この本、謎ばかりだからというばかりでなく、たいそう読みにくかったんです。
ページを開いて読もうとするのに、文字のうえを目が滑ってなかなか頭の中に入ってきてくれない。
文章がとても難解というか、ときどきこれって何が書いてあるの、意味ワカンナイと思うこともありました。

マキリップの原文が難解なのか、それを日本語に移植する時点で生じた齟齬なのかはわたしにはわかりかねますが、いままで読んできたマキリップ作品の中でまちがいなく一番読みにくかったです。

話がわかってみるとうわあ、そうだったのか、素晴らしい! と言えるけど、だから皆さん読んでくださいとはとても言えない……。

マキリップの本が次々刊行されるのは嬉しいけど、どうもどんどん読みにくくなってるような気がします。わたしの頭が悪いからかもしれないけど、これでは売れないのも仕方がないかなあと感じてしまった一冊でした。

でも、続きも読みますけどねv

第二部はこちら。

白鳥のひなと火の鳥 (創元推理文庫)
パトリシア・A・マキリップ 大友 香奈子
4488520138

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