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『夜の虹』

夜の虹 (夜の虹シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086013541


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いただいて読了。

帝政ロシア末期のモスクワを舞台に、忌まわしい力を持った少女が巻き込まれる事件を描く、少女向け歴史ミステリシリーズ、開幕編。


十九世紀の帝政ロシア。父親の死後、伯父のラズモフスキー公爵家に身を寄せている十五歳の少女オリガは、スケッチのために訪れた公園で楽しげなひとりの少年の姿を見かける。だが、その少年はオリガの目の前でおそらく死んだ。いや、少年はすでに死んでいたのだ。オリガには死者の死ぬ間際の姿を繰り返し見るという、忌まわしい力があった。放置することが出来ずに赴いた警察で、オリガは新たに赴任した若い副署長と出会う。近衛連隊を問題の末に追い出されたという噂のロジオンは、意外にもオリガの絵心を刺激する魅力を持っていた。捜索の末、少年の遺体が発見されたが、連れ立っていたはずの少年の兄が行方不明になっていた。




『風の王国』の作者さんの新作は、帝政ロシア末期が舞台のミステリです。
いまのところミステリですが、時代考証がしっかりとしてるので、そのうち歴史の激動も描かれるのかもしれない、シリーズがつづいていくと……という期待感のある作品になってました。

ヒロインは、ドイツ系ロシア人の父親とロシア貴族の母親の間に生まれた少女オリガ。
父親が借金まみれの末に行方不明になり、母親は心労の末に倒れて療養中です。
しかし、オリガだけは知っているのです。父親が死んでいることを。
それは彼女のもつ秘密の力のせいでした。

おかげでオリガは変わり者と認識されつつ、親切な伯父のおかげで伯父の一家とともにモスクワで暮らしています。

というところから始まるお話です。

異能がきっかけとなってかかわることになった少年の行方不明事件が、とある人物との出会いを演出し、さらに別の事件へとつながっていきます。

事件の背景がこの時代のロシアの状況をよく反映したものになっていて、なるほどなーと思いました。この辺りに革命まで書いてくれるかもという期待が湧いてきます。

その伏線のように、オリガの周辺にはさまざまな人物が配されてまして、軍部に見切りをつけたやり手の商人=開かれた視野を持つ伯父とか、その仲間とか、昔ながらの習慣を頑なに守るロシア商人とか、経営者に反感を持つ労働者たちとか。

まるで逆ハーレムのようにオリガの下に集う(?)三人の若い男たちも、三者三様。
元近衛連隊で今は警察副署長のロジオン。
憲兵将校でオリガの父親を革命家と繋がっているのではと疑っているレオニード。
イギリス人弁護士でオリガの婚約者アーサー。

どの人物もこれからの展開を考えるとさまざまに妄想が膨らむという点でたいそう面白いです。

冷徹で疑い深いレオニードとはのっけから対立してますが、かれには一本筋の通ったところがあって任務に忠実だという点で好感があり。

アーサーはいまのところなにかお義理の婚約者のようですが、たぶんなにか思惑があるのだろうし、もし亡命なんて事になったらいろいろとお役立ちだろうなと思われ。

ロジオンはいちばんヒーローっぽいですが、けっこう苛酷な過去の持ち主で得体の知れないところがあり、やばいんじゃない?という予感があったり。

オリガがどうなるかよりも、この三人がどう変貌していくのかのほうに興味が湧いてしまいました。

なのでぜひとも、革命までつづいていただきたいと思います。

さいわい二巻目は刊行されていて手元にもあるので、すみやかに読みたいと思います。

ところで、あちこちに出てくるロシア料理が興味深いです。
とくに屋台のB級グルメみたいなヤツ。
これをまたオリガが美味しそうに食べてるんですよねー。
ものを食べるシーンがあると一気に日常感が演出されますね。

さらに余談。
タイトルの「夜の虹」てどういう意味なのか、どこかに書いてあったでしょうか。
読み飛ばしちゃったのか……?


夜の虹 灰色の幽霊 (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086014254

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