スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『夜の虹 灰色の幽霊』

夜の虹 灰色の幽霊 (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086014254


[Amazon]


読了。

十九世紀帝政ロシア末期を舞台に、変わり者と呼ばれる女の子が出会う事件を当時の世情とともに描くミステリシリーズ、第二巻。


十五歳のオリガは実業家の伯父ラズモフスキー公爵の家に身を寄せている少女。オリガはしばらく疎遠になっていたカール・ハインツ・エルツベルガー男爵の招きを受けた。男爵はオリガの父親の友人だったが、八年前にオリガの父親が行方不明になった事件に少なからず関わっていた。後悔の念から遠離っていたのだという男爵に、あらためて父親の消息を聞かれたが、オリガに返す言葉はなかった。表向き行方不明だが、彼女は不思議な力で父親が死んでいることを知っているのだ。エルツベルガー男爵はすばらしい猟犬三頭と犬の世話をしている青年ヤコフをオリガに紹介した。犬の絵を描くことになったオリガは男爵の屋敷に通うようになった。訪問はとても楽しいひとときだった。ところがある日、オリガがいつもどおり男爵邸を訪ねると、エルツベルガー男爵が殺され、容疑者としてヤコフが逮捕されたと聞かれる。




少女向け歴史ミステリなんですが、社会派ミステリと呼びたいような雰囲気も持った作品に仕上がってるシリーズです。

前巻でとりあげられたのは搾取される労働者階級が主でしたが、今回はユダヤ人差別と女性の人権問題。
ロシア帝国の裁判に陪審員制度があったとはしりませんでした。
アヘン中毒がでてきたところで、ああ、十九世紀だわーとしみじみしてしまいました。
それにワイマール犬とオリガの父親の事件がからみあって、かなり複雑な設定となってます。

ですが、すべて少女オリガの視点から描かれていくので、とても馴染みやすくわかりやすいです。

十九世紀当時のロシアの日常風景や社会風俗にかんして、物語の妨げにならないさりげなさで説明がはいるので、散漫にもなってません。
文章の端々から革命前夜のモスクワの暮らしが伝わってくるのが気に入ってます。
とくに食べ物関係の描写が大変に充実していますね。
読みながら知らない食べ物をネットでいろいろと検索してしまいました。
おかげで読むのに時間がかかってしまいました(汗。
いったん読み終えたところでもう一度前巻から読み直したりもしてしまいました。
それだけロシアについての興味をかきたててくれる作品です。

オリガをとりまく三人の男性陣も健在w

今回は裁判ということでようやく有能さを発揮する婚約者のイギリス人弁護士アーサー氏。
本人は自分の都合で動いているのだろうけどなぜかオリガに丁度いいところに現れて、本人にその気はないだろうけどいろいろと情報をくれるネスチェロフ少佐。
番犬のようにいつのまにか寄り添っている水猟犬に似ているという副署長のロジオン。

表面上、というかオリガの心も、ヒーローはロジオンになりつつありますが、さて、どんなものだろうとわたしは思うわけですw

やっぱりね、この三人の中で一番オリガの側にいるのが不自然なのはロジオンだと思うんですよね。動機が見えない。必然性が感じられない。

食べ物に食いつく無邪気な姿にだまされちゃいかんよ。君はいったいなにゆえオリガの側にいるの? だれかの指図を受けてるの?
問い詰めたくなりますw

むしろネスチェロフ少佐の存在のほうが自然に感じられるのですが、それはわたしだけでしょうか。

とはいえ、ふたりともまだ愛だの恋だのより食い気のほうが勝っているので、この方面が進展するのはまだ先か、あるいは事件のほうがメインになるんじゃないかと推測。

正体不明といえば、サブタイトル。
読み始めた途端にこれは犬のことだねと確信したのですが、実際犬のことでもあったのですが、これってあのいやらしげで冷酷な雰囲気を持つ男のことも指しているんだろうなと思いました。

シリーズ通しての軸は、どうやらオリガの父親に関する謎であるようです。

こうなると、保養地で療養したまま、まったく出演される気配のないオリガの母親の存在が気になりますねえ。

つづきが読みたいなあ。まだ出ていないけど。

ちょっと文章がそっけないので、ときどき突き放されるような心地になりますが、理性的でわかりやすくはあります。少女向けとしては損をしているかなと思うことはある。

とにかく、シリーズが中断したりしないでちゃんと最後まで読めるようにとお祈りをしておきます。つぎが出たら買うべきか……。


シリーズ開幕編はこちら。

夜の虹 (夜の虹シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086013541


そういえばロジオンの形容詞に必ず出てくる水猟犬って、レトリーバーのことかなー。

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。