『南の子供が夜いくところ』

南の子供が夜いくところ
恒川 光太郎
4048740326


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読了。

東南アジアっぽい南の島々を舞台にしたホラーテイストあり、ファンタジーテイストありの幻想連作短篇集。



南の子供が夜いくところ
紫焰樹の島
十字路のピンクの廟
雲の眠る海
蛸漁師
まどろみのティユルさん
夜の果樹園




『夜市』の作者さんの本。
今回は冒頭の一編が少しだけ日本で、あとはときどき日本人の男の子が絡んできますが、たぷん東南アジアかどこかなんだろうなあと思われる南の島を中心したお話集です。

魔女と呼ばれるユナという女性がときどきでてきて、時代は現代だけでなく、十六、七世紀くらいまで遡ることもあります。

これまではほとんど日本だろうなと思われる所が舞台で、時代が遡ることもなかったので、ちょっと変わったかなと思いました。

でも、あいかわらず、ちょっとそっけないような文章で、平然と現実を超越する出来事を書いていってます。

話の展開はやはりけっこうグロかったり、怖かったり、謎だったり、奇想天外だったりで、それほど変わってはいないような。これまでどおり、人の悪意もあります。

けど、いままでずっと曇り空のようにつきまとっていた重苦しい閉塞感があまりないのは、どこまでもひらけていく海や空がみえる舞台のおかげなのかな。

読んでいて、あ、この作者さん『銃・病原菌・鉄』を読まれたんじゃないかしらんと思われるところ、多々あり。

それから、五十嵐大介『海獣の子供』ぽいイメージがわきあがるお話があったりもしました。

ずっとつづいていた冒頭の謎は、けっきょくのところなんだったのかな、あれだったのかなと、すべてを突き詰めずに曖昧なままに余韻を残して終わるのも、わたしにとっては好みでした。

凄い盛りあがりはないけれど、淡々と不思議がつらなってる、そんな短篇集でした。
面白かったです。

しかし、フルーツ頭の怪物って……どうしてそういう発想が出てくるのか、謎ですわw

わたしが好きなのは「紫焰樹の島」と「雲の眠る海」です。
いかにもな好みで恐縮です。


銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド ダイアモンド 倉骨 彰
479421006X

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