『RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた』

RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた (カドカワ銀のさじシリーズ)
荻原 規子
4048740520


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いただいて読了。

お山で世間知らずに育てられてきた少女の成長と、自分の運命と向かいあっていく姿をえがく、いまのところは学園友情ものファンタジー。シリーズ第三巻。


山伏に大切に守られてきた姫神の憑坐・鈴原泉水子は、ふつうの学校生活を送るという名目で幼なじみの深行とともに東京の鳳凰学園に入学した。しかし、そこでは式神を配下としていた陰陽師の高柳と、忍術の系譜を継ぐ宗田真響による勢力争いが始まっており、泉水子は真響とその弟・真夏、真澄としたしくなったせいでその渦中に巻き込まれてしまう。真響との友人関係を続けたいと願う泉水子は自分から真響の陣営に組みすることになった。生徒会執行部の一員となった真響、真夏、深行、泉水子は、夏休みにおこなわれる文化祭準備のため、真響の実家のある戸隠に合宿に行くことになる。




純粋培養で無垢に育ってきた無自覚な少女・泉水子が、だんだん自分の立場を自覚している途中のお話です。

この話が面白いところは、話を俯瞰してみている存在が近くにいないことでしょうか。
だれもが自分のことで一生懸命で、他人のことがよくわからない。一番身近なはずの人の気持ちがもっともつかめなくて、逆に敵対関係にある人のほうがすっきりとみることができたりする。
そして立場のわからない人たちもいて、その人たちに対するバランスをとるのも難しい。

これって現実の社会生活ではごくふつうのそれこそ常識的なことなんですが、ライトノベルの世界ではかなり異質な気がします。登場人物の明瞭度が低いというか、読み手にもよくわからないまま、流動的に状況が変化していくのですね。

視点がいまだに手探り状態の泉水子だからかもしれませんが、彼女よりも視野が広いと思われる真響でもわからない部分のほうが多い。そして、泉水子について目付みたいな役割を果たしている深行くんは、泉水子よりは情報を持っているけれども“いないよりはマシ”ていどに扱われてる存在で実際にけっこうあちこちで翻弄されている。

そんなよくわからない状況で、よくわからないけれどもよい道と信じて進んでいった先で、警告されてはいたけど予想を遥かに超えた危機に陥る泉水子と深行くんと、真響・真夏と真澄の運命は?

今回の舞台、長野県は戸隠は忍者の里らしいですね。
いままで山伏、陰陽師とでてきてついに忍者がご登場です。
そして戸隠という地名にも隠された秘密が。
真響たち三きょうだいの在りようと、この土地の特殊性が物語に色濃く絡んでくる部分がとても興味深かったです。
このピンチの原因にも吃驚しましたしね。
ネタバレになるのでこれ以上は書けないけど、あああ、そうかあ、そうだんたんだーと思いました。

今回の最大の疑問は、最大ピンチでの深行くんの姿、なのですが、「後で話す」といってたけど気が向かないと話してくれないんだろうな、かれは。

泉水子に意識して距離を置き、わざと冷たくふるまっているようなところのある深行くんですが、泉水子の異変にあたふたと慌てるさまが楽しかったです。
ラストで泉水子の質問の答えの変わりにした深行くんの質問には、ぷっと笑ってしまいましたw

泉水子・母は格好良かったです。

あいかわらず、未来から視点が混じるところにいまいちなじめないのですが、お話はたいへんに楽しかったです。
つづきをお待ちしています。


シリーズ開幕編はこちら。

RDG レッドデータガール はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)
荻原 規子 酒井 駒子
4048738496

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