『カラクリ荘の異人たち 3 ~帰り花と忘れ音の時~』

カラクリ荘の異人たち 3 ~帰り花と忘れ音の時~ (GA文庫)
霜島 ケイ ミギー
4797354127


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読了。

心を閉ざした少年が、この世と異界の狭間・賽河原町にある空栗荘で様々な出来事といろんな出会いの後に、次第に感情を取り戻していくさまを絶妙の距離感で日本の四季とともに描いていく、シリーズ第三巻。

夏、秋、ときて今回は冬が舞台。
十二月の行事の立て込む中で、太一がうけとった郵便物は義母からの贈り物の手作りクッキーが入っておりました。
それを食べてみた太一はとてもまずいと感じ、なぜこんなものを送ってきたのだろうと疑問に思います。
ところが、空栗荘のひとびとはこのクッキーを美味しいというのです。
理由がわからない太一は混乱に陥ります。
空栗荘の人たちは太一のことを認めてくれていると思ったのに。
さらに、正月は空栗荘に居残るつもりでいた太一を、なぜかまわりは当然として受けとめてくれないのです。

もやもやとした思いを抱え、太一は頻繁に裏の町に迷い込むようになっていきます。

という感じのお話です。

メインは太一と家族の関係で、そのメインをいざなうように章ごとにエピソードがひとつ完結するようになってます。

父親の書いた本を探して欲しいという老紳士。
身体が溶けてしまった雪女。

ふしぎな出来事の合間に、太一のことを思う女の子・采奈がちょこちょことぬくもりと微笑ましい笑いを届けてくれるのと、空栗荘の面々がそれぞれにそれぞれの暮らしをつづけている風情が楽しいです。

力のコントロールができない乱暴な祓い屋ミヨシくんは、関西弁のせいか別シリーズの世話焼き鬼に似ているようなw

一見クールな公僕・十遠見氏の趣味はスイーツ作りだけではなかった件、何気なく書かれてますがとても印象に残りました。

でも、今回一番印象的だったのはタカハシさんの正体かな。これにはびっくりしましたよ。しかも、落ち武者たちがやってくる理由がまた笑えたw

人間関係では、太一の義母になった鈴子さんのキャラクターにもぶっとびました。
なんなんだこの人のいうことを聞かない無駄にポジティブシンキングな体当たり女は!w

太一のお父さんってじつはとても懐の深いひとだったのかも、とおもった瞬間だった。
そして、太一・父の一回失敗してるからみたいな台詞に太一・母への興味が俄然かきたてられました。

つぎでシリーズは完結みたいですが、そのあたりのことが明らかになるのかなー。
べつにわかんなくてもいいんじゃないか、と思ってましたが、太一の心の傷はそこが原点なので、なんらかのフォローがあっても不思議ではないですね。

日本の四季折々の情景とそのときどきの祭事をおりまぜつつ、少年のこころのうごきを見守るような視線のぬくもりを感じる、あたたかなお話でした。

読んだあとに残るほっこりとした嬉しさをしばらくのあいだ楽しみました。


つづきはこちら。

カラクリ荘の異人たち 4 ~春来るあやかし~ (GA文庫)
霜島 ケイ ミギー
4797358947



シリーズ開幕編はこちら。

カラクリ荘の異人たち~もしくは賽河原町奇談~ (GA文庫 し 3-1)
霜島 ケイ ミギー
4797342986

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