『恋のドレスと湖の恋人 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと湖の恋人 (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
4086014645


[Amazon]

いただいて読了。

ヴィクトリア女王時代のイギリスを舞台に、仕立屋の少女と公爵の跡継ぎの恋の行方をえがく、心理サスペンスロマンス。シリーズ二十一冊目。

地に足のついた細やかな文章で心理サスペンスな事件のからんだ恋愛を描く、時代ロマンスです。

この巻はハードなアクションから一転して、前作まですれ違っていたクリスとシャーロックの、再会後の湖畔の宿でのあれこれなロマンス最高潮な一冊でした。

でも、わたし的なメインは、ジャレッドにかくまわれていたアイリスが、審判者の前で演ずるひとり舞台だったかなあと思います。
これまでクリス視点からしかわからなかった闇のドレス側の物語が、首謀者のひとりコルベールの娘アイリスの視点で語られるシーン。というか、独白ですね。

生まれついての女優のアイリスの話なので、すべてが事実ではないにしろ、彼女の心理的な旅路については真実を語っていたのではないかと思われました。

といっても、わたしにはそれがどうもとってつけたもののようにしか感じられなかったのですが。

ここでいきなり内幕を明かされてもなあ、というのが一番近いかなー。
特にリコの話は中途半端に感じられたので、どうせわからないならわからないままにしてしまった方がよかったのではと思ってしまいました。

そして、クリスとシャーロックの、というよりかはシャーロックののぞむ未来にも、リアリティーがあんまりないような。

ここまでつきあってきたのだから、それはふたりにはしあわせになってもらいたいですが、現実問題としてそれが可能なのかには疑問符がついてしまうのです。

天地がひっくり返るような起死回生策があったりするのでしょうか。あればいいんですけどね。
米国に移住するとか?

いまだに出番がとぎれず、なにかと世話をしてくれるジャレッドさんが暗躍してくれたら面白いんだけどなー、と前巻よりすっかり騎士様ファンのわたしは勝手に妄想を繰り広げておりますw

そんな泥沼な展開の中は、シャーロックの従僕のアントニー君の一生懸命な姿が一服の清涼剤。
パメラを想う自分をシャーロックに重ね見ているのかなとも思うのですが、アントニー君の言動にはいちいち身も蓋もないシャーロックの姿が反映されてるので、いちいちプッと吹きだしてしまいます。

今回はクリスへのこの台詞が極めつけ。

シャーロック様を捨てないでください。



たしかに、これまでも主導権を握ってるのはクリスだったのかも……と思えて笑いがとまりませんでした。

物語も終盤にさしかかってきたようですが、できれば期待を裏切らない程度にリアリティーを保ったまま、ハッピーエンドも迎えて欲しいと、欲張りなことを思う読み手のひとりでした。


シリーズ開幕編はこちら。

恋のドレスとつぼみの淑女 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
4086007169

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)