スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『中世のアウトサイダーたち』

中世のアウトサイダーたち
F. イルジーグラー A. ラゾッタ Franz Irsigler
4560028656


1984年にドイツで刊行された『乞食と大道芸人、娼婦と刑吏』の全訳。
中世ヨーロッパにおいてアウトサイダーとされた者たちの実態が、おもにケルンの記録に基づいて表されています。

目次は以下の通り。


まえがき

第一章 周辺集団とアウトサイダー

第二章 乞食とならず者、浮浪者とのらくら者
 一 物乞いは天下御免の生き方
 二 中世後期の社会的なネット
 三 恥を知る者、知らぬ者、地元の貧者、よそ者の乞食
 四 「王さま」対乞食
 五 猫と鼠
 六 さげすまれた小路
 七 物乞いの技術
 八 兄弟団の乞食
 九 望みなき若者たち
 十 終わりに絞首台ありき

第三章 ハンセン病患者
 一 市壁のはずれの病人たち
 二 ハンセン病の検査
 三 生ける死者
 四 物乞いは鈴とガラガラをもって

第四章 心と頭を病む人びと
 一 狂人のつまった箱
 二 限りある同情
 三 奇蹟を期待する

第五章 風呂屋と床屋、医者といかさま医者
 一 浴場という名の待ち合わせ場所
 二 快楽と不安のはざま
 三 有名な医者――惨めないかさま医者
 四 不名誉から夢の職業へ

第六章 大道芸人と楽士
 一 野次馬根性、生活の基本的な欲求
 二 熊使い、芸人、そして化け物
 三 笛吹き、太鼓叩き、リュート奏者
 四 役者の時代

第七章 魔法使い、占い女、狼男
 一 ケルンの井戸端会議
 二 火をもてあそぶ
 三 魔法の書
 四 狼男
 五 子兎の魔術
 六 恋の魔術
 七 水晶とふるいで――未来を占う
 八 「カシサ、ハシサ、メシサ・メダントル」――失せ物探しの魔術
 九 嵐と火事の呪文
 十 薬草の煮出し汁と病気平癒のお呪い
 十一 女予言者たちの貧苦

第八章 ジプシー
 一 果てしなきさすらい
 二 ケルンの異教徒
 三 異教徒ペーターの「カルメン」

第九章 娼婦
 一 より小さな悪
 二 「美女の館」から「卑しい家」へ
 三 ベアリヒから足を洗えない
 四 赤いヴェール着用のこと
 五 口外できぬ黙せる罪
 六 取り持ち女の商売
 七 俗物人間、ヘルマン・ワインスベルク
 八 娼婦の悲惨――悲惨な娼婦
 九 娼婦と死刑執行人
 十 稼ぎ場所のトポグラフィー
 十一 傭兵の娼婦
 十二 娼婦の類型
 十三 暮らしを支える売春代
 十四 その世界から抜け出す道
 十五 自力による出世、ユダヤ女ウルズラ

第十章 刑吏とその仲間
 一 畏怖から恐怖へ
 二 ケルンの刑吏の権力
 三 「死の見せ物」
 四 すぱっと斬り落とす技
 五 拷問台から刑場へ、ケルンの拷問
 六 罰は語る。処刑の象徴的な意味
 七 刑吏の仲間、獄丁
 八 刑吏風情の人びと――皮剝ぎ人、犬殺し、糞さらい

第十一章 結論でなく、いかがわしい人びととまともな人びと

あとがき


資料および参考文献目録 




「十四世紀から三十年戦争(一六一八~四八)前夜までの社会の下層階級の実態をケルン市において鋭くえぐり出そうとする」本です。

名誉があるかないかが普通の市民でいられるか否かに繋がるという、その名誉のあるなしの基準が興味深かったです。

これだけいろんなヨーロッパの被差別民の実態を網羅している本は初めてなのでけっこう面白く読みました。
目当ては大道芸人でしたが、流しの医者とか刑吏とかはへええでした。
刑吏のところでは「新しい太陽の書」を読み返したくなったりして(たしか首切り役人が主人公だったので)。

刑吏が被差別民を監督する(上前をはねる)立場にあったなんて、眼から鱗おちまくり。
拷問は刑吏じゃなくて陪審員の取り調べ中で、しかもその後の処刑にかかる費用は刑吏の負担ってなんなの;

あと、これはケルン市だけの特別みたいですが、公娼宿の娼婦より街娼のほうが地位が高いってどうなんだ;

そのほかにもいろいろと驚かされることがありましたが、ちょっとおぼえ切れてません;

かれらにたいする差別意識がどのようにして生まれていったのかといったあたりは、もう少し突っ込んだことが知りたかったかな。日本における被差別民の成立過程とくらべると、キリスト教の果たした役割がかなり大きいんじゃないかなと思うのだけど、そのへんは自明の理みたいに適当に流されてしまったような。刊行された年を考えると仕方がないかなとも思いますが。

それと、訳文は大変に読みにくいです。
プロの翻訳者のお仕事ではないのでこれも仕方がないかなと……思うけどやはり読みにくいものは読みにくい。
対象読者が大学生みたいで、途中で原語が訳されずにごろごろと転がされてるのがまた一般人の読み手には困ったことでした。巻末の参考文献も全部原書でした。

あとがきに、類書として『ある首斬り役人の日記』がすでに刊行されており、その後本書中にもとりあげられていた『ワインスベルクの書』が刊行予定と記されているので、たぶんもうとっくに出ているのでしょう。

かなり読んでみたい気持ちですが、読みにくさがブレーキをかけています。
どうしようかなーと迷い中。


多分同じ内容の本の新版がこちらです。

中世のアウトサイダー
フランツ イルジーグラー アルノルト ラゾッタ Franz Irsigler
4560026033

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。